こんにちは、物欲紳士です。
今回は、アメトラ感溢れる、革靴の名品を紹介したい。
今回紹介するのは、フローシャイム (Florsheim) のユーマ (Yuma) 、通称コブラヴァンプ。
トラッド(アイビー&プレッピー)が好きな方
ホールド感の良いスリッポン靴をお探しの方
まずはブランド(フローシャイム)と、コブラヴァンプについて振り返ってみたい。
ブランド(フローシャイム)と、コブラヴァンプについて
フローシャイム (Florsheim) について
フローシャイム (Florsheim Shoes) は、米国の靴ブランド。
1892年に創業。
生産・消費大国、米国の靴ブランドにあって、ハイクオリティーな製品づくりで「最高峰の米国靴」として知られていた名門。
ここ日本でも、米国ファッションの影響を特に受けた「アイビー世代」の間では憧れの靴ブランドとして認知されていたようだ。
さすがに「高級路線」では企業を維持するのが難しいのか、近年はカジュアル・廉価な靴がメインになっている。
そのためか靴好きの間では(新品ではなく)ヴィンテージ製品が特に注目されたりするのも、フローシャイムの特徴と言える。
そんなヴィンテージ・モデルの人気に応えてか、フローシャイムの過去の名モデルは復刻生産が度々行われている。
のモデルは往年のフローシャイムを象徴する、インペリアルラインのケンムーア。
象徴的なアメリカン・スタイル、360°ウィングチップのデザイン。
いかにもアイビー的で、タイムレスなスタイルの1足。
ユーマ (Yuma) について
今回紹介するユーマ(Yuma, 通称コブラヴァンプ)は、フローシャイム製品の中でも(少なくともここ日本では)評価が高い、定番の1足。
スタイルは、サドル革(甲部の補強革)のない、ヴァンプ(ベネシャン)と呼ばれるシンプルなデザイン。
シンプルなパーツの構成とは裏腹に、ボリューム感と主張のあるフォルムが特徴的。
筆者はコブラヴァンプが大好きで、20代の頃からずっと愛用。
現在履いているのは2代めになる。
1足めも含めると10年以上、手元に置いて愛用してきた上での良い点・イマイチな点をレビューしていきたい!
フローシャイムのユーマ:良い点と、イマイチな点
そんなこんなで筆者が長年愛用している、フローシャイムのユーマの良い点・イマイチな点をまとめると、下記のようになる。
ボリューミーな外観がもたらすファッション性
深めのヒールカップなどによる懐の深い履き心地
お洒落な人からの注目度の高さ
入手性が良くない
以下で、それぞれを順に説明していきたい!
気に入っている点
ボリューミーな外観がもたらす、ファッション性
フローシャイムのコブラヴァンプを語る上で欠かせないポイントは、何と言ってもその唯一無二の(?)ファッション性。
履き口のあたりは幅広で、爪先はラウンドしつつも適度にシャープな形状。
着用状態でもボリューム感が感じられ、春・秋の適度なボリュームの服装と合わせても「足元が軽すぎる」状態にならない。
言ってみれば「スリッポンらしさ」と「デザインのボリューム感」という、軽さと重さが融合したデザインだ。
上写真の厚底ソールのローファーみたいに、スリッポン特有の「軽さ」を払拭しようとしている製品は、他にも色々とあるにはある。
そんな中でも「独自のトラッド感」も含め、コブラヴァンプのデザインは独特な存在感を放っていると言えるだろう。
深めのヒールカップなどによる、懐の深い履き心地
コブラヴァンプは、フィッティングに対して比較的シビアな、スリッポンというカテゴリーの靴。
なおかつ外観からは、「重さ」がイメージされる。
そんなことから、「履きづらそう」というイメージを持たれる方も多いかと思う。
だけど結論から言ってしまえば、心配は杞憂。
フィッティングに関して、コブラヴァンプはなかなか懐の深い設計をしている。
基本として、底付けは(グッドイヤー・ウエルトではなく)マッケイ式。
簡素な構造だけどレザーソールとも相まって、スリッポンとして重要な屈曲性が高い。
その上で、ローファーとは異なりサドル(甲部の補強)がないヴァンプという構造ゆえか、ヒールカップが深く取られている。
要するに、足が屈曲した時に「踵で足と靴をフィットさせる」設計になっているわけだ。
「踵で足を保持する」というのは、(ジャンル・具体的な形状は異なるけど)レディースのパンプスなんかとも近い発想。
甲で保持できない場合は、このような設計思想になるのは必然な気もして、興味深いと感じる。
以上をまとめると、「屈曲性に優れたマッケイ式の底付け」にした上で「踵を重視したフィッティング」になっているのが、この靴の特徴。
結果的に、定番ローファーにありがちな「革が伸びたら即終了」「ピタピタじゃないとダメ!」という面倒臭さ・狭苦しさがない。
ややゆったりめでも踵が抜けない安心感がある点は、非常に優れたポイントだと言える。
お洒落な人からの注目度の高さ
先ほど書いた「独特なファッション性」とも近いけど、この靴はショップの店員さんなどの「お洒落な人・プロからの注目度」が異様に高い。
固定ファンが多く「その道の方から、よく話を振られる靴」っていくつか存在するけど、自分が普段履いている靴の中では「話しかけられる率」が、間違いなくNo.1。
ボタンダウン・シャツなんかと同様に、コブラヴァンプのスタイル自体が極めて「アイビー的」で、アイコンになっているのは日本くらい(?)な可能性もある。
けれども、世代を経た現在になっても「日本のお洒落さん」が注目してしまう靴、それがコブラヴァンプなのだと言えそうだ。
イマイチな点
入手性が良くない
世界的に見れば「そんなのあったねえ…」かもしれないが、コアな日本人を惹き付ける靴・コブラヴァンプ。
ただ、(ボタンダウンのシャツなんかとは異なり)惹き付けられるのが日本人でも限定された層のみのためか、入手性が良くない。
これは非常に困った点。
そんな中、日本の靴ブランドの雄、リーガルはコブラヴァンプを50年近く造り続けている。
こちらはいつでも入手ができて、素晴らしいことではある。
だけど、やっぱりデザインもフィット感も違うんですよ、フローシャイムのモノとは…!
本家フローシャイムの製品は、日本企画で10年に1度くらいの周期で「再流行(?)→復刻」のタイミングが来るっぽい。
(その度にお値段は上がり続けているけど)復刻のタイミングで買い逃がさないことが、何より重要かもしれないと感じる。
まとめ:タイムレス&プライスレスな価値のある1足
今回はフローシャイム (Florsheim Shoes) の往年の名品、ユーマ (Yuma) についてレビューしてみた。
ボリューミーな外観デザインがもたらす独特なファッション性
深めのヒールカップなどによる懐の深い履き心地
お洒落な人からの注目度の高さ
入手性が良くない
復刻される度に価格が上昇しているけれど、それでもバカ高い靴というわけではない。
だけど「お金を出せば、いつでもホイホイ買えるわけではない」という時点で、既に価格を超えた価値がある。
「◯万円だから適当でいいか」とか「大切に履こうか」ではなく、いつでも心を込めて磨き、大切に履きたい。
そんな気分にさせてくれる、タイムレス&プライスレスな価値がある1足なのだ
★(おまけ)コーディネート例、購入品のデータ
コーディネート例
コーディネート詳細
ジャケット:バラクータのG9(レビューページ へ)
シャツ:スウィープ!!
ネクタイ:ユニクロ
ベルト:ホワイトハウス・コックス
デニム:ユニクロ(レビューページ へ)
靴:フローシャイム(本品)
コーディネート詳細
ベスト:フェローズのウォバッシュストライプベスト(レビューページ へ)
シャツ:ウエスのシャンブレーワークシャツ(レビューページ へ)
ボトムス:バーガス・プラス
靴:フローシャイム(本品)
鞄:フィルソンの70256(レビューページ へ)
コーディネート詳細
ジャケット:モーガンのType A-2(レビューページ へ)
シャツ:ギットマン・ブラザーズ
ボトムス:ウエス
靴:フローシャイム(本品)
鞄:万双
購入品のデータ
ブランド フローシャイム (Florsheim)
スタイル名 ユーマ (Yuma)
型番 11169
製法 マッケイ
素材 (甲革)ガラスレザー
(底材)レザー
色 バーガンディー
サイズ US7D
価格 28,000円
購入年月 2009年
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