こんにちは、物欲紳士です。
今回は、興味深いTシャツのサンプルをご提供いただいたのでレビューしたい。
本記事でレビューするのは、機能性Tシャツ "O5PRO CoolingT" 。
肌触りの "綿感"
汗ジミ防止
抗菌消臭
涼感・散熱
速乾
ストレッチ
まずはブランド (O5PRO) と、このTシャツの概要をチェックしたい!
ブランド (O5PRO) と、CoolingTについて
O5PROについて
O5PROは、台湾・台北の洋服ブランド。
日本ではあまり馴染みがないけど、ホームページ(繁体字中国語)を見ると、大人向けのトップス・子供服・小物(靴下やハンカチなど)を手掛けているようだ。
大人向けのトップスは冷感アイテムが中心になっている様子。
そこは亜熱帯の台湾、夏場向けの冷感アイテムも「本場」のはず。
近年はここ日本でも、夏場は温帯とは思えない酷暑だから、これは期待できそうだ…!
CoolingTについて
亜熱帯からやってきた(?)O5PROが、クラウドファンディングサイト "Makuake" でプロジェクト展開中(*2021/08/13で終了)なのが、今回紹介する "CoolingT" 。
プロジェクトサイト へ(外部リンク、makuake.com)
このTシャツ、なかなか見どころが多いけど、要点をかいつまむと下記の通りになる。
肌触りの "綿感"
汗ジミ防止
抗菌消臭
涼感・散熱
速乾
ストレッチ
これらは「そういう機能を持たせた生地である」というのがポイントで、生地の機能性に特色があるTシャツなのだ…!
このあたりは、近年のハイテクウェアの流儀に則っていると言えそうだ。
今回は、そんなCoolingTを試用するオファーをいただいたので、早速試してみることにした!
O5PRO CoolingTの良い点・イマイチな点
さてさて、そんなこんなで筆者の手元に届いたO5PROの "CoolingT" 。
前述の特徴とカブるけど、このTシャツを着てみて感じた良い点・イマイチな点は、下記の通り。
酸化チタン配合、独特の遮熱メカニズム
透けない上に通気性に優れた生地構造の良さ
ナチュラルな「コットン感」のある肌触り
アイロン要らずでイージーケアな点
品質は高いがスポーツウェア寄りな縫製
上記のそれぞれについて、順に詳細を述べていきたい!
酸化チタン配合の、独特の遮熱メカニズム
まず、理系出身の筆者が、本品を見てテンションが上がったのは「酸化チタン配合」という、独特の冷感メカニズム。
金属素材を洋服の生地に混ぜるというのは、ちょっと変わっていて興味が湧く。
先掲の製品プロジェクトページによれば、
酸化チタンとは…遮熱性と抗菌性に優れた顔料材料。宇宙服や宇宙ステーションにも使用されている。
とある。
耳慣れない素材だけど、酸化チタンの顔料材料としての用途から、「なぜ冷感効果があるのか?」を解説してみたい!
まず、人間の身体の多くを占めている素材と言えば、皆さんご存知の「水」。
水の色は何色?と聞かれたら、当たり前だけど「透明」(厳密には薄い青色)。
透明ってどういうことか?というと、「光を吸収せずに通す」ということ。
だけどあまり知られていないけど、「水が透明」に見えるのは「目に見える光(可視光)」の話。
実際のところ、水って目に見えない領域の光線(紫外線・赤外線)は吸収するのだ。
人間の目がこれらの光線を捉える構造だったとすると、水は上写真のような「黒い液体に見える」だろう。
ある光線(※専門的には電磁波と呼ぶ)を吸収するということは、そのエネルギーを吸収して温度が上がることを意味する。
この原理を利用した代表的なものとして、電子レンジやコタツがある。
これらは「赤外線」を用いて水分を温めることで、食材や身体を温めている。
「遠赤外線効果」という言葉を、聞いたことのある方も多いかもしれない。
ちなみに日差しや焚き火からも「熱線」を感じるけど、これも同様な原理。
要は「今日は35℃だから暑い」とか「20℃だから涼しい」という、小学校で習う理屈(伝熱; Heat Transfer)とは違い、「(目に見えないものも含めて)光線」から熱(エネルギー)を受けるのだ。
ちょっと専門的だけど、この現象を「輻射」 (Heat Radiation) と呼ぶ。
では、水を電子レンジで加熱する時、もし上写真のようなイメージで(目に見えない)光線を反射させるカバーを付けるとしたら、どうなるだろうか…?
光線カバーがうまく作用したなら、水は加熱されないことになる。
話を "CoolingT" の酸化チタンに戻したい。
酸化チタンの「顔料素材」だけど、これは上で述べた光線カバーのような役割をしている。
具体的には、日差しに含まれ、体内の水分を加熱してしまう赤外線を反射する役割がある。
なので "CoolingT" の生地に含まれる「酸化チタン」は、特に炎天下で効果を発揮すると言えそうだ。
実際、製品テストでは放熱を抑制する効果について、国際的な認証を受けている、とのこと。
前置きが長くなった…。
で、実際に着用してみた感想だけど、確かに日射を遮る効果を感じる。
日射が激しい炎天下でも、身体に熱が籠もる感じはなくて(感覚的だけど)クールな印象。
ただ、炎天下ではシャツ本体に熱を持ちやすい気がする点は、やや気になった。
原因だけど、今回選択させていただいた色味(ネイビーブルー)が良くなかった気がする。
ネイビーブルーと言いつつ、実際には青色っぽい、結構淡い色味。
青色というのは「橙色の補色」。
要するに橙色を吸収するので「青く見える」のだ。
赤に近い橙の光を吸収するということは、(見えないけど)赤外線も吸収している可能性が高い。
せっかくの酸化チタン生地が反射してくれた赤外線エネルギーを、表面の青色生地が吸収してしまった可能性が高いわけだ。
この観点で上の検証写真を再度見てみると、確かに赤色のシャツで検証しているようだ。
そういうことか…!
せっかくの「酸化チタン効果」を堪能したいのなら、色選びも重要そうだ。
白系がベストなのは言うまでもないけど、「肌が透ける」可能性もありそう。
結局のところ、赤系がベストの選択ということなのかもしれない。
透けない上に通気性に優れた、生地構造の良さ
さらに冷感効果を語る上で欠かせないのは、「透けないのに通気性が高い」という点。
表地と裏地の2重構造なのだけれど、それでも裏から見ると結構透ける。
当然ながら、通気性も良い。
ただ前述したように、透けないのは青色という「淡色でない色味」の効果もありそう。
「涼しさ」という観点では淡色系を選びたいけど、白などの淡色系では「肌が透ける」可能性も否定できない。
直接、現物を確認できたわけではないけれど、この点には留意したい!
ナチュラルな「コットン感」のある肌触り
あと、今回のような高機能なハイテク生地って、「化繊っぽさ」が全開な場合も多い。
このシャツの生地は「コットンっぽさ」が感じられる点も好印象だった。
…まあ実際には表地はポリエステル100%、裏地は「酸化チタン複合繊維と銀繊維」ということで、実際には天然のコットンでは全くないのですが…。
ここで言う「綿っぽさ」を文章で書くと、下の2点。
・繊維が細いことによる肌当たりの柔らかさ
・適度な厚みによるシッカリ感と吸水性
今回のTシャツの生地は、化繊でありながら、上のような「コットン的な雰囲気」を再現している。
もしかすると最新のハイテクウェアでは良くあるのかもしれないけど、筆者にとっては初めての経験だった。
その質感と機能性の両立っぷりに、ちょっと関心してしまった。
洗濯しても、アイロン要らずのイージーケア
「日常着としての機能性」も、このシャツの特色の1つだと感じた。
速乾性・ストレッチ性などがPRされているれど、筆者が気に入ったのは洗濯後にアイロンをしなくても、細かいシワが気にならない点。
「Tシャツのシワなんて、気にしなくてもいいんじゃない?」という方も多いだろう。
だけど、普段着として「通勤で着用して、商談時はジャケットを羽織る」なんてシーンも想定すると、やっぱり細かいシワが付くのは気になる。
「イージーアイロン」というとドレスシャツが主流で、Tシャツって案外少ない気がするので、こうした機能性があるのは、単純に便利だし面白い。
今後の洋服の進化として、需要が高まりそうな方向性かも?と感じた。
品質は高いけれど、スポーツウェア寄りな縫製
一方、「酷暑の環境で、仕事向けに着る」という想定で、ちょっと気になったのはスポーツウェア寄りな縫製だ。
このTシャツでは、前身頃と後身頃の間に「専用パーツ」があって、その縫製部が外観に露出している。
一般的なTシャツの場合、前身頃・後身頃は直接縫うし、その縫製部は内部にあって見えない。
脇下も同様で、前述の「専用パーツ」が脇下を全てカバーするようにできている。
あまり縫製には詳しくないけど、これは恐らく「スポーツウェア向きの高機能な縫製」。
内側に縫製部が露出してしまい、激しい運動の際にストレスになるのを避ける構造なのだろう。
一般的な街着用のTシャツと比べてもパーツ数が多く、コストがかかる仕立てなのだろうと思う。
だけど、筆者のような「スポーツ用途でない、一般ユーザー」を想定すると、見た目的にもスポーツウェア感があり、ジャケットなんかと併用して着崩すには「気恥ずかしさ」も伴う。
「街着」とするか「スポーツウェア」とするか、コンセプト次第だけど、筆者的には通常のTシャツの仕立ての方が良いと感じた。(コストも抑えられそうだし…!)
まとめ:今後の生地技術の発展に、改めて注目したい!
長々と書いてしまったけど、今回は台湾から来た期待の(?)ブランド、O5PROの "CoolingT" についてレビューした。
酸化チタン配合、独特の遮熱メカニズム
透けない上に通気性に優れた生地構造の良さ
ナチュラルな「コットン感」のある肌触り
アイロン要らずでイージーケアな点
品質は高いがスポーツウェア寄りな縫製
総合評価 ★★★☆☆
デザイン ★★☆☆☆
オジサンの普段着には、ややスポーティー感高めなデザイン
機能性 ★★★★☆
新しさを感じるギミック。色選びも重要
着用感 ★★★★★
着用時の快適性が高い生地・縫製の仕様
価格 ★★☆☆☆
量産化に伴う、今後のコスパ改善に期待!
耐久性 特になし
*サンプル試用のみのため
その他 特になし
感想を一言で言えば、生地の出来を中心になかなか見どころが多く、面白い製品だと感じた。
特に酸化チタンという金属系材料を配合して遮熱性を高める、というアイデアは興味深い。
一般的に洋服に用いられる繊維の進化に留まらず、さらにハイテク材料を付加するというのは、今後の生地技術の進歩の方向性になる可能性もありそうだと感じた。
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暑さ対策の観点で言っても、遮熱性だけでなく熱伝導性を向上させた生地なんかがあれば、近年注目されている上のようなデバイスとの組み合わせで、大幅な涼感を実現できる可能性もある。
「裸よりも涼しい」を実現できれば、かなりエコな技術でもある。
最近勃興している「環境ビジネス」的にもお金になりそうな分野だし、技術的な観点でも今後の発展が楽しみで、大いに注目したいと感じた
プロジェクトサイト へ(外部リンク、makuake.com)
本記事に関する注意事項
本記事は、ブランドの日本代理店よりサンプルのご提供をいただき、執筆したものです。
執筆に際しては、評価用のサンプルをご提供いただいた以外、いかなる利益の供与等も受けておりません。
また記事の内容に関しては、できるだけ忠実かつ客観的な記載を心がけております。
しかしながら、筆者が自費で購入した物品のレビュー記事ではないのも事実です。
上記をご理解いただいた上、記載内容の信憑性については、ご覧いただいた皆さまご自身で判断いただけますと幸いです。
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