こんにちは、物欲紳士です。
この記事では、映画 "007" シリーズの(原稿執筆時点 (2021.11) での)最新作、"No Time to Die"を観た上で、前の記事(映画本編の感想)に続いて特に気になったモノ(ファッションなど)について取り上げたい!
本記事ではファッション・小物・ガジェット類について書いてみたい。
いや〜、前回記事は(映画について初めて書いたこともあって)記事を書くのが大変だった…。
今回からは気楽に書きたいので、引き続きお付き合い願いたい…!
この記事で紹介するモノは、目次をクリックすれば見れます…!
"007 / No Time to Die" で気になったモノ
お酒
シェイクされたマティーニ
本作では、お酒はカクテル(マティーニ)とウイスキー(スコッチ?)が出ていたけど、特に気になったのはマティーニだった。
"007" シリーズの「お約束」とも言える要素だけど、ボンドは「一風変わったマティーニ」を好む。
本作では「(ステアではなく)シェイクされたマティーニ」を、キューバのパーティー会場で発注。
「ステア」というのは、ミキシング・グラス(材料を混ぜるための器)で材料を穏やかに混ぜる作り方で、マティーニの一般的な製法。
対して「シェイク」とは、シェイカーで材料を振って混ぜる作り方。
一般的な感覚だと「いちいち説明が必要な、変わった作り方を要求する」のは、酒類の提供側からすれば「面倒くさい客」だとしか言いようがない(笑)。
だけど、「カクテルの王様」と言われるマティーニを「自分のスタイル」で愛飲するのは「伝統的な紳士のスタイルを範としつつ、独自のスタイルを持つ」というジェームズ・ボンドのライフスタイルの象徴でもある。
「ベースとなるスタイル」と「独自のスタイル」との対比という観点で捉えると、「ボンド流のライフスタイル」が面白く見えてくるわけだ。
余談だけど「007のマティーニ」として有名なのは「蒸留酒に(ドライ・ジンではなく)ウォッカを用い、シェイクされたマティーニ」。
だけど、今回は原料の指定はなく、一般的なジン・ベースのマティーニを発注しているように見えた。
舞台がカリブ海のキューバだったこともあり、さすがに(ロシア原産の)ウォッカは当地では一般的ではないだろうし、飲む気分にもならないだろうからね…。
細かな設定がよく考えられている点も「モノ映画」らしさだと言えそうだ。
洋服・アクセサリー
ガチなミッションでは「現代的なミリタリー装備」で身を固めるのが、現代のジェームズ・ボンド。
ファッション面での個人的な注目点は多くはなかったけど、その中で「気になったアイテム」を挙げていきたい!
【服】トム・フォードのスーツ
第31作「慰めの報酬」から、ボンドが着用しているのがトム・フォードのスーツ。
ビジネススーツだけでなく、タキシードもトム・フォード製なのかな。
トム・フォード (Tom Ford) は、米国出身のファッションデザイナー。
'90年代からグッチのクリエイティブ・ディレクターとして活躍、現在は自身の名を冠したブランドを主宰している。
ジャケットはナロー・ラペル、色はネイビーかグレー、模様は無地(かそれに準じた細かなチェック)もしくはストライプで、ナロー・タイを合わせる。
虚飾を廃した「'60年代的なスーツ・スタイル」は、多くの作品で引き継がれてきた「ベース的となるスタイル」。
一方、クレイグ版ボンドの「独自性」は、鍛えられた肉体にフィットする無駄がないサイジング。
短めな着丈や細身のパンツなど、若者が好みそうなスーツの着こなしを好む。
率直に言って50代のオジサンが着ることには賛否がありそうだし、ドレープ感・リラックス感や生地の柔らかさ・光沢感を重視する近年の流行に合っていない面もある。
だけど、本作でもスーツ・スタイルを大きく変えなかったのは、「独自性あるサイズ選択」を流行には左右されない「クレイグ版ボンドのオリジナリティ」だと捉えている証拠。
15年も経てばスーツの流行にも変化があって当然だけど、(細かな調整はあるにしても)公開時の流行に流されて着こなしをチャラチャラと変えなかった点は興味深い。
「50万円のスーツは購入すること」それ自体は無理だとしても、「独自性を貫く」点は、筆者自身も取り入れていきたいと感じた。
【靴】クロケット・ジョーンズの靴
近年の作品で、ジェームズ・ボンドが愛用している(提供を受けている?)のは、クロケット・ジョーンズの靴。
クロケット・ジョーンズ (Crokett and Jones) は、英国の靴ブランド。1879年創業。
長年ファクトリー・ブランドとして、英国の靴産業を支えてきた名門。
近年は、一流のシューズ・ブランドとして認知されている。
ドレスシーンで履いていたのは、プレーントゥのハイバリー (Highbury) 。
英国で特に人気のある、Vフロントと呼ばれる汎用性の高いデザイン。
ロングノーズで細身なデザインは、シェイプされたスーツとの相性も良好。
ソールはクロケット社オリジナルの「シティソール」と呼ばれるラバー素材。
スタイルだけでなく、イザという場面での運動性もある実用性も特長。
一方、ノルウェーのシーンで履いていたのは、チャッカブーツのモールトン (Molton) 。
カジュアル感の強いラフ・アウト仕様のスエードを使用、形状のボリューム感とも相まって無骨な印象を受ける。
ソールは、通称「ゴルフ・ソール」とも呼ばれるラバー底材のダイナイト・ソール。
やはりアクションシーンでの実用性も考慮していそうな点は興味深い。
【服】マッシモ・アルバのコーデュロイ・セットアップ
カジュアル・スタイルで特に目に惹いたのは、冒頭のイタリアを旅行するシーン。
導入のアクション・シーンで、ボンドが墓参りをするシーンで着用していたのが、ベージュのコーデュロイのセットアップ。
こちらはトム・フォードではなく、イタリアのマッシモ・アルバ (Massimo Alba) というブランドの製品のよう。
このセレクトで感じた「面白さ」は2点あって、まず第1に「秋冬物でベージュのセットアップを着る」という点。
このセットアップは細畝だけどコーデュロイだし、総裏付きで明らかに秋冬物。
ベージュなどの淡色系のスーツ・ジャケット類って春夏物が多く、秋冬物はまだまだダークトーンの製品が多い。
服装のカジュアル化に伴い、秋冬物でも「軽めな色合い」が、今後はますます増えると思う。
だけど「キャメル・ベージュ系の秋冬用ジャケット」って、現時点ではまだ一般的に入手しやすいアイテムではない。
ジャケパンにも合わせやすく、個人的には注目しているアイテムだけど「流行をちょっと先取りした感」があるのは興味深い。
2点め、「ブランド選び」の観点では、カジュアルなウェアは大手メゾンではなく、(ショップのセレクトブランドのような)小規模 or ファクトリーブランドから選んでいる点も面白い。
シリーズの特色でもある「タイアップ主義」とはちょっと相容れない部分もあるけど、大手メゾンだけではなく小規模ブランドの感度の高さも買っているということなのかもしれない。
【靴】スエードのチャッカ・ブーツ
あと、同じくベージュのセットアップを着ていたシーンで履いていたのがブラウン・スエードのブーツ。
劇場で観た限りではラバーソールのアンクル丈ブーツで、「マッドガード(★後述)かな?」と思ったけど、後で調べた感じでは↑のドレイクス (Drake's) の製品だったよう。
本品も上述したベージュのセットアップと同様、「定番品を敢えて外したセレクト」をしているように見えるのは興味深い。
本作に登場したファッション・アイテムの中で、個人的に最も「取り入れたい」と感じたセレクトが、実はこのスエード・ブーツだった。
というのも、このブーツを着用している冒頭シーンは「恋人とのイタリア旅行」というシチュエーション。
愛車・アストンマーティンでの移動だけど、旅行なだけあって無駄に荷物は増やせない。
そんな状況で天候を選ばず、アウトドアから街中、果てはジャケット着用シーンまで対応できるラバーソールのスエードブーツを選択するのは、理にかなっている。
ただボンドは英国人でもあるし、もし筆者なら英国の定番アイテムを選択するとは思う。
例を挙げると以下。
他製品
英国発の定番スエードブーツ3選
別シーンで着用していたクロケット・ジョーンズから、定番のスエードチャッカ、チャートシー。
50年近くに渡って生産され続ける、「ブランドの顔」とも言える1足。
ややドレス寄りかも。ラバーソール(ダイナイト)の製品もあり。
本編に登場したドレイクスのブーツと似た感じの定番品としては、ソールに防水用ラバーを巻きつけた「マッドガード」と呼ばれるブーツが挙げられる。
「英国の定番カジュアル靴」とも言え、のサンダース (Sander's) の製品が有名。
俳優のスティーブ・マックイーンが愛用していたことでも知られていて、英国人以外にも愛好家が多い。
高価な製品ではないけど、クラークス (Clark's) のデザートブーツでも全く問題はないと思う。
ただし誰でも買える製品でもあるので、「貴族趣味的な面もある、ボンドのキャラクター」にマッチするかは微妙かも…。
【腕時計】オメガの腕時計
「ジェームズ・ボンドの腕時計」と言えば、原作では「ロレックス・サブマリーナ」が特に有名。
だけど近年の映画作品では、オメガ (Omega) とタイアップしている。
作中でボンドが着用していたのが、シーマスター (Seamaster) の特製モデル。
本作での秘密兵器の1つで、強力な電磁パルス (EMP) を発生させて電子機器の誤作動・故障を誘うという設定になっていた。
ブロードアロー(の印、英国の官給品のマーク)が付くのも、ミリタリー・マニアが好む仕様で格好良い。
ガジェット類
【銃器】ワルサーのPPK
「ジェームズ・ボンドの銃」として最も有名なのが、独ワルサー社の名銃 "PPK" 。
作品で登場しているのは、より小型化した派生モデルの "PPK/S" かな。
ワルサー (Walther) は、ドイツの銃器メーカー。
特にハンドガン(拳銃)が有名で、ルパン3世(ワルサー「P38」を愛用)など、他の有名作品での登場も多い。
ボンドが愛用する「PPK」は、小型拳銃の名作として知られている。
元は私服警官用に開発され、日本の警察で使用されていた時期もある。
「ジャケットの懐に忍ばせる拳銃」にはもってこいというわけだ。
【ガジェット】ノキアのスマートフォン
電子機器類は、長らく我らが日本のソニーが製品を提供していた。
本作はソニー・ピクチャーズ配給ではないことからか、ノキアの携帯電話・スマートフォンが登場するシーンが目立った。
ヒロインのマドリーヌが冒頭のアクション・シーンで使用していたのが、ノキアのフィーチャーフォン "3310" 。
2000年代初頭に1億台以上(!)を売り上げた超名作で、2017年に復刻されて注目された。
筆者も発売当時は欲しかったけど、本機は「3G回線のみ」。
日本語対応はなく、電波的にも技適非対応。対応バンドも少なくて日本国内での使用はちょっと非現実的。
ただし、「ノキア随一の名作機」なのは間違いない。
日本では馴染みの薄いブランドだけど、海外渡航が多い方のサブ携帯としては役立つかもしれない。
ボンドや仲間のエージェントもノキアのスマホを使用していたけど、筆者はスマホマニアではないので、どのモデル名かは視認できなかった。
スマホ自体が、既にそのまま「スパイ道具」として使えるほど高度なデバイスなので、製作側としてもガジェットネタとしては使いづらいという可能性もありそうだ。
まとめ:何だかんだで内容が濃く、物欲が刺激される。笑
この記事では前回の記事 に引き続き、映画 "007" シリーズの最新作、"No Time to Die" に登場した洋服・小物・ガジェットについて、気になる製品をピックアップしてみた。
冒頭で述べた通り、ガチなミッションでは「リアルなミリタリー感のある服装」で身を固めるのがクレイグ版の007。
ファッション・小物系のネタは少ないかと思いきや、思っていた以上に「濃い内容」だったなと感じた。
「誰もが認める名品・名作」と「こだわりのスタイル・セレクト」を融合させるのが、ボンドが得意とするスタイル。
憧れを抱いて「同じモノを入手する」のもいいけど、「自分にとっての『定番』と『我流』を突き詰める」ことが、「ジェームズ・ボンド的なライフスタイル」に近づくための本質と言えるのかもしれない。
引き続き、次回は「クルマ・バイク」について取り上げてみたい。
よろしければお付き合いを…!
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