こんにちは、物欲紳士です。
前々回から、映画 "007" シリーズの(記事執筆時点 (2021.11) での)最新作、"No Time to Die" について、「本編の感想」&「気になった洋服・小物」について取り上げてきた。
今回は最終回ということで、作中で登場した気になるクルマ・バイクについて取り上げてみたい…!
本作は "クレイグ版007の最終作" なこともあってか、興味深いクルマ・バイクがたくさん登場して面白かった。
本ブログではクルマに関してはほとんど取り上げてないけど、そこそこマニアックな視点も含めつつ、極力分かりやすく解説していきたい。
お付き合いいただければ幸いです…!
007 / No Time to Die:気になったクルマ・バイク
クルマ
アストン・マーティンのDB5
アストン・マーティン (Aston Martin) は、英国の自動車メーカー。
主にスポーツカーを製造。
「ボンドが最も愛する自動車ブランド」だと思うけど、その中でも「ボンド・カーを象徴する1台」と言えるのがDB5。
'60年代前半に製造・販売されたクルマだ。
本編では、冒頭のイタリアを旅行するシーンに登場。
導入部の演出としてキャッチーだったし、やっぱりカッコいい。
現代の工業技術に慣れた視点では「ボロいクルマ」にしか見えない方もいそうだけど、アストンの良さは「英国の上流階級を思わせる貴族的な内外装のセンス」にあると思う。
現行モデルに至るまで、外装は形状に無駄がなく、内装は明るい色合いの天然素材(木や革など)が用いられることが多くて、デザイン・素材の両面でエレガントな装飾性が残る。
この傾向が最も顕著なのは、同じく英国車のロールス・ロイス (Rolls Royce) やベントレー (Bentley) だけど、よりスポーツカーに特化した高級車がアストン・マーティンなわけだ。
ロータス (Lotus) をはじめとして、英国にもスポーツカーの名門は(小規模メーカーも含めて)数多くあるけど、「スポーツ性と『高貴さ』との両立」が、アストンの特徴。
この点が「ジェームズ・ボンドにはアストン・マーティンが似合う」と評価される、最大の理由だと言えそうだ。
アストン・マーティンのV8
一方、作中でボンドの「第2のプライベート・カー」として登場したのが、'70〜 '80年代に製造されたアストン・マーティンの "V8" 。
個人的には「どうなのよ?」と感じたカーセレクトだったけど、登場シーンが多かったので触れておきたい。
このクルマは、第15作目「リビング・デイライツ」(Living Daylights, 1987) 以来の再登場だったようで、従来からのファンに向けたファンサービス的な登場のように感じた。
当時のアストン・マーティン社は経営状況が芳しくなく、「外国(北米)で売る必要性」があったためか、デザイン的にマッシブで米国車っぽい雰囲気が強い。
このためか、前述したDB5では見られた「アストンらしい気品」が感じられない。
個人的にはあまり好みではないかな。
クレイグ演じる「硬派なボンド」に合うと言えなくはないけど、英国紳士が乗るにはやや大味だよねえ…。
マッチョなヴィンテージ・カーを入手するなら、(現実的には)シボレー・コルベットやフォード・ムスタングなどの米国車の方が定番な気もする。
ちなみに本作で "DB5" だけでなく、旧式のアストン・マーティンが2台も登場している理由はラストシーンで判明する。
一言で言えば「ボンド自身を象徴するDB5」だけでなく、「ボンド "的な" クルマ」も必要だったということだけど、詳しくは本編をご覧いただきたい…。
アストン・マーティンのDBSスーパーレッジェーラ
アストン・マーティンの現行モデルでは「DBSスーパーレッジェーラ」と、(2021年時点では)発売前の「ヴァルハラ」が登場。
気になったのは前者の方。
ボンド自身ではなく「同僚が駆る」という設定ではあったけど、現行のDBシリーズも美しい。
往年のアストン・マーティンの良さ、「流麗さと優雅さ」を引き継ぎつつも「超ド級のパフォーマンス」を実現したのが「DBSスーパーレッジェーラ」。
5.2リッターの大排気量V12エンジンと、過給器(ツインターボ)との組み合わせ。
725馬力(!)というエンジン出力は「軽自動車10台分」に相当し、一言で言うと「F1レベル」。
最新テクノロジーを持ってしても、このパワーを2輪駆動で制御するには、相当な運転技術が必要なはず。
こうした古典的スペックのハイパフォーマンス・カーを新車で見られるのも、今後は困難になりそうではある。
(まあそもそも、筆者のような庶民が買える代物でもないけれど…)
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ランドローバー・シリーズIII
ランドローバー (Land Rover) は、英国発のSUV・オフロードカーのブランド。
先日薨去された英国王室のフィリップ王配をはじめ、英国の著名人にも愛好家が多いことで知られている。
当然、"007" シリーズにもランドローバーの車両は数多く登場。
本作で最も目を惹いたのは、ボンドがジャマイカで暮らす場面で「日常のアシ」として使っていると思しき旧型のランドローバー。
こちらも過去作「リビング・デイライツ」(Living Daylights, 1987) 以来の再登場なのだそう。
「シリーズIII」は、ランドローバーが1970年代に製造した4輪駆動車。
「レンジローバー」「ディスカバリー」「ディフェンダー」などのシリーズに分岐し、SUVという概念が生まれる以前の、軍用ジープの面影を色濃く残すクラシック・モデルだ。
作品中でもエンジンが掛からなくなり、ボンド自身も「また壊れたか…」的な諦めの表情を浮かべていて、(実際には壊されたのだけど)「オンボロ車」として扱っているのが伺えた。
当時のランドローバーは(現代の高級SUVとは異なり)高価ではない「実用本位なクルマ」。
生産台数もそこそこ多いはずだけど、高価ではないだけに稼働状態で現存する割合も少ないはず。
作品で登場した「ショート・ボディのトップ(屋根)なし」の稼働車となると、結構レアな可能性もありそうだ。
少なくとも日本の都市圏に住む筆者は、稼働する現物を見た記憶はない。
アストン・マーティンほど高価ではないにせよ、ここ日本では「もしかすると "DB5" よりも稀少な」1台なのかもしれないわけだ…!
現行型ランドローバー(ディフェンダー110、レンジローバー・スポーツ)
現行型のランドローバーでは、新型のディフェンダー110(ロングボディ)とレンジローバー・スポーツが登場。
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両車とも、ノルウェーの山林でのシーンにて敵側の車両として登場。
ダークカラーに塗装され、いかにも「悪そう」な雰囲気に演出されていた。
ボンドがドライブするランドクルーザー(★後述)と格闘して宙を舞い、転がりまくる。笑
「英国っぽさ」を象徴し、「味方側のクルマ」として使われることの多いランドローバーが敵側の車両として使用されるのは珍しく、ちょっと興味深い。
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旧年式のトヨタ・ランドクルーザー
同じくノルウェーでのカーチェイス・シーンで、ボンド達が駆る車両として使用されていたのは、我らが日本の名車・トヨタ (Toyota) のランドクルーザー (Land Cruiser) 、通称ランクル。
「運命の女性」マドリーヌの邸宅をボンドが訪れた際、現地にあったクルマ。
マドリーヌが日常のアシ用に使っている設定のように見えた。
登場した車両は、'90〜 '00年代に生産された旧型モデル。
普及型製品の「プラド (J90型) 」になる。
実はランドクルーザーは、砂漠・僻地などの厳しい自然環境下で暮らす世界中の人々に愛用される「最も有名な日本車ブランド」の1つ。
この観点で言えば、人里離れたノルウェーの山間部で使う設定は車両選択としてはリアルな感じがした。
ただ、北欧・ノルウェーの地で「ボンドが日本車、(英国人でない)敵が英国車に乗る」という設定に、首をひねられた方も多いのではないだろうか。
これには理由があると思っていて、その秘密はネーミングにある。
「ランドクルーザー」を和訳すると、「陸のクルーザー(船などの意味)」。
対する「ランドローバー」は、「陸の漂流者・冒険者」的な意味。
だけど「ちょっとカタい英語」で捉えると「クルーザー」は巡洋艦(軍艦の一種)、「ローバー」は海賊・盗賊という意味もある。
日本語で言えば「官軍と賊軍」的な意味合いも込められていて、要するにただのダジャレなのだ…!
結構マニアックなので、作品を見てこの「シャレ」を理解できた方は少ない気もする。笑
普通の映画だと「気付く観客がほぼ皆無で、無意味な設定」となりボツになりそう。
こんな「オヤジギャグ」が設定として成り立つ "007" シリーズは、やっぱり「モノ映画」なのだなあと感じさせられる。
マセラティ・クアトロポルテ(旧型)
最後に、本編冒頭のイタリアでのアクションシーンで、敵側の車両として最初に登場したのがマセラティのクアトロポルテ。
マセラティ (Maserati) は、イタリアの自動車ブランド。
主にスポーツカーなどの高級車を製造。
基本的には少量生産のメーカーだけど、ここ日本ではバブル期以前から知られている。
マセラティ社にとっても、比較的馴染みが深い国でもある。
クアトロポルテ (Quattroporte) は、そんなマセラティのフラッグシップ・セダン。
本編で登場したのは、主に '90年代に製造された4代目モデル。
この年代のイタリア車は「独自性のある『らしさ』」が濃く、現在でも一部のマニアに大いに人気がある。
このシーンはイタリアが舞台だったこともあり、使用車両に選ばれたように見えた。
昔の日本の刑事ドラマ(「西部警察」なんか)で、(マークIIやセドリックなんかの)敵側の旧式車両が登場して爆発炎上するのを連想させる展開で、予想した通り結局ボコボコになります…。
それは良いとしても、旧年式のイタリア車と言えば「信頼性に欠ける」ことも有名。
テロリストが作戦に使うクルマとしては、ちょっとリアリティに欠ける気もするけどね…。
あくまでフィクションだし、「信頼性云々」は実際に筆者が所有した上での感想ではなく、あくまでもウワサ。
あまり適当なことを書くべきではないのかもしれない。
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バイク
トライアンフ・スクランブラー1200
オートバイもいくつかのシーンで登場していたけど、気になったバイクを紹介する。
マセラティが登場するのと同シーンでサポート的な役割で登場、ボンドが奪って乗り回していたのがトライアンフのスクランブラー1200。
トライアンフ (Triumph) は、英国のバイク・メーカー(日本の下着メーカーとは無関係)。
英国製バイクは、日本メーカー(主にホンダ)に打ち破られるまでは欧州のレースで常勝し、世界最高のバイク生産国として知られていた。
トライアンフは、そんな英国バイクの伝統を受け継ぐ名門ブランド。
現行モデルは、往年の雰囲気を再現したクラシカルなロードモデルが有名。
スクランブラー (Scrambler) とは、そんなロードバイクをベースにオフロード仕様に仕立てた改造バイクを起源とする、バイクの呼称。
今回登場したスクランブラー1200も、ガソリンタンクの形状やフレームの構造は伝統的なロードモデルのイメージを受け継いでいる。
一方、オフロード向けのタイヤやマフラーなどを装備することで、オフロードバイク的な「走破性」やSUVにも通じる「オシャレ感」が加えられている。
ライト・補機類などの小物パーツはモダンにリデザインされ、今作でボンドが駆るにふさわしい「クラシカル感とワイルドさ、現代性が融合した1台」になっているわけだ。
ただ一言加えておくと、登場シーンはイタリアが舞台。
敵側のクルマもイタリアのマセラティ、かつイタリアは欧州随一のバイク生産国。
そんな中、手元に転がってくる敵側のバイクは「ボンドらしい英国のトライアンフ」という設定。
「そんなことは起きないよ、普通は」という気はする
常識的に考えれば、ドゥカティ (Ducati) のロードバイク・モンスター (Monster) なんかが登場する方が自然。
このあたりは、「本作ではトライアンフ社とタイアップ」という「大人の事情」もあるっぽい。
…ので、あまりゴチャゴチャ言うのは良くないかもしれない。
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まとめ:クルマ・バイクも見ると、"007" をさらに楽しめそう!
今回は "007" シリーズの最新作、"No Time to Die" に登場したクルマとバイクについて、筆者の目を特に惹いた製品を取り上げてみた。
「乗り物関係」を本ブログで取り上げたのは初めてで、記事を書くのがなかなか大変だった…。
今回もやや長文になってしまったけど、いかがだっただろうか!
やっぱりクルマやバイクって「その人のステータスや価値観」がよく現れるモノ。
"007" シリーズのような「物欲映画」には欠かせないアイテムなのかもしれない。
近年、ここ日本では「若者のクルマ離れ」が進んでいる。
環境問題への対応を考えると、「クルマ離れ」の傾向は、将来的により拍車がかかるとも予想される。
様々なクルマが登場する本作を「夢がある」などとは言っていられない時代が来るのかもしれないけれど、未来の話はまた別の話。
クルマ・バイクについても見ることで、 "007" シリーズをより楽しむことができそうだ!
乗り物について書くと記事がマニアックになりすぎるので、本ブログでは触れていなかったけど、今後も機会があれば記事を書いてみたい…!
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