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【007】No Time to Die を観る【1/3:映画の感想編】

2021年11月7日

こんにちは、物欲紳士です

この記事では、原稿執筆時点 (2021.11) で公開中の映画、"007" シリーズの最新作 "No Time To Die" を鑑賞してきたので、評価・感想について書いていきたい!

久々のシリーズの新作公開だったけど、やっぱり007は面白い。
単純に映画作品としてだけではなく「物欲映画」としても楽しい内容だった。

…ので、この記事では本作の本編(とクレイグ版の "007" )について振り返り、次回以降は本作で出てきた「気になるモノ」をピックアップして紹介していきたい!

まずは映画 "007" と、本作の概要からチェックしていきたい!

本記事についての注意事項

 

いわゆる「ネタバレ」について、本記事ではストーリーの本筋に関わる「決定的なネタバレ」を避ける記述を心掛けています。
…が、抽象的すぎる表現を避けるため、「作品のディテールに関するネタバレ要素」は含みます。くれぐれもご注意ください。

映画 "007" と、"No Time to Die" について

"007" シリーズについて

007(ダブル・オー・セブン)シリーズは、英国の軍人・作家、イアン・フレミングのスパイ小説「ジェームズ・ボンド」シリーズを原作とするスパイアクション映画

1962年の第1作公開(英国)から、60年近くに渡ってシリーズとして成功。

007 / No Time to Die(パンフレット)

今回公開された "No Time to Die" は第25作目で、現在の主演俳優ダニエル・クレイグは6代目のジェームズ・ボンドの演者となる。

筆者は初期シリーズをリアルタイムで知るわけではないので想像を含むけど、"007" シリーズが長年に渡り愛され続けている理由は、主に下記の3点にあると考えている。

"007" シリーズの人気の理由

主人公の華麗なライフスタイルとアクション
シリアスな描写が少ない娯楽性の高さ
(①に付随した)商業広告との親和性の高さ

まず第1に挙げられるのは、主人公ジェームス・ボンドの華麗なライフスタイルとアクション
ボンドは海軍の士官(中佐)で、オックスフォード出のエリートという設定。

「ザ・階級社会」の英国で、上流階級との交流が多いことも想像に難くなく、ボンド本人も上質なファッションに身を包み、スポーツカーを駆って颯爽と任務をこなす。
一言で言えば「貴族趣味」っぽい一面があって、画面を彩るアイテムがエレガントで美しい。

(★写真はイメージです)

また、作品毎に登場する美女「ボンドガール」とアバンチュールを繰り広げるプレイボーイな一面や、華麗なアクションも見どころ。
全体を通して、登場する場面・人物・モノがいちいち洗練されていて、観ていて楽しいのが良い。

第2に、シリーズ全体を通して「深刻に考えてしまうようなシリアスな内容」は少ない。
難しいことを考えずに楽しめる娯楽性の高さも人気の理由だと思われる。

娯楽性と言えば「スター・ウォーズ」を始めとしたハリウッド映画の独壇場の感もあるけど、007シリーズにも、米国発の定番シリーズに通じる魅力がある。

味方(主に英国)と敵対勢力との政治的対立が取り上げられることもあるけれど、現実と乖離した設定だったりすることも多く、基本的に敵側への憎悪を煽る描写は少ない
また血なまぐさいシーンや、登場人物に感情移入しすぎる場面もほぼ見られない

「内容が薄い」と言ってしまえばそれまでだけど、「チケット代を払ったのに、かえって気分的にマイナスになった」という心配は、ほぼ無用。
そういった意味で安心して劇場に行って楽しめる作品な点が、60年近く続いてきた理由なのだろう。

また最後に、(特に '90年代以降だと思うけど)様々な一流ブランド・製品とタイアップがなされるなど企業広告と親和性が高いことも、ビジネス的な成功要因の1つだと思う。

「ジェームズ・ボンドのライフスタイル」にはファンも多く、ブランド側もタイアップすることで販促上のメリットがある。

アストン・マーティンのクルマ、オメガの腕時計、ソニーの電化製品などが特に有名だけど、様々なブランドが作品とタイアップし、その製品が画面に登場する。

言ってみれば「アフィエイト映画(?)」的な側面もあるわけだ。

筆者は映画マニアではないので、これらのタイアップ契約の映画本体の収支への貢献度については詳しくない
だけど「企業がタイアップ製品をメディアに露出させる度に、映画本編もPRされる」ことだけを捉えても、他の人気シリーズも追随し難い、独特なポジションを築いているのは明らかだと思う。

様々なビジネスと比較しても「博打的な要素」が強いのが、映画を含めたエンタメビジネスの特徴。
作品自体が「広告向き」な点は、シリーズ映画として長年に渡り継続してきた理由の1つだと考えても良さそうだ。

"No Time to Die" について

007 / No Time to Die(パンフレット)

"No Time to Die" は、そんな "007" シリーズの通算25作目の映画作品。
主演はダニエル・クレイグ。本作が5作目で、最後の007作品となる。

ストーリーは、前作「スペクター」(Spectre) のラストシーン直後から、5年後にかけて展開。

宿敵「スペクター」を打倒したボンドに立ちはだかる「最凶の敵」との対峙と、クレイグ版ボンドの「運命の女性」の1人、(前作のボンドガール)マドレーヌとの愛の結末が描かれる。

(ネタバレ防止のため)内容について詳しくは述べないけど、15年余りに渡って続いてきたクレイグ版007の最後を飾るのにふさわしく、「シリーズの伝統と、『現代の作品』としての要請」とのバランスを強く意識している点が見どころ。

『現代の作品』としての要請としては、シリーズの長期化に伴う価値観の変化(人種・ジェンダーなどの多様性の尊重)を受け、マイノリティへ配慮した内容へのアップデートが図られている。

一方、 "007" シリーズ伝統の「楽しめる」部分でもある、見ていて飽きない華麗さ・気楽に観られる楽しさも、もちろん健在。

クレイグ版007の最終作なだけあり、上演時間も164分(2時間半以上!)となかなかの長編だけど、本編の長さを感じさせないボリューム感の作品に仕上がっていた。

以下では、そんなクレイグ版007の集大成、"No Time to Die" を鑑賞した上での筆者なりの感想について書いていきたい!

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007 / No Time to Die(とクレイグ版ボンド)についての感想

007 / No Time to Die(パンフレット)

本作 "No Time to Die" を観て感じた、本作(とクレイグ版ボンド)良い点・イマイチな点をまとめると、下記の通り。

"No Time to Die" の良い点・イマイチな点

伝統的な007作品の枠を超えた各要素のバランスの良さ
特に「悩める人間」ジェームズ・ボンドの描写に注目
過去作と比較するとシリアスな要素が強い

以下にて、それぞれについて述べていきたい!

伝統的な007作品の枠を超えた、各要素のバランスの良さ

007シリーズは伝統的に、(やや失礼だけど)「深い」内容が少ない娯楽性の高さを特色にしていた。
この伝統に対し、本作も含むクレイグ版007は、前述の通り「社会の価値観の変化」などを積極的に盛り込んだ点が特徴となっている。

具体的に言うと、それは人種・ジェンダーの平等性だったり、対峙する相手の変化(価値観が多様化する社会で「正体不明な敵」と対峙するという設定)などに表れている。

非常に数多くの面でアップデートが図られている一方、1つのポイントが目立ちすぎることがなく「ドライでフラットな世界観」を保っている点は、 "007" らしい価値観だと感じる部分でもある。

他方、「価値観の変化や作品としての表現」に無関係な部分では、伝統的な要素も重視している。

007 / No Time to Die(パンフレット)

タイトル (No Time to Die) のネーミングなんかも、その一例。
このタイトル、率直に言うと内容的に深い意味はないのだけど、過去の作品でよくあったネーミング手法を踏襲している。

映画作品の中から、似た感じのタイトルを挙げてみると、

「007は2度死ぬ (You Only Live Twice)(第5作、ショーン・コネリー主演)
「死ぬのは奴らだ (Live and Let Die)(第8作、ロジャー・ムーア主演)
「トゥモロー・ネバー・ダイ (Tomorrow Never Dies)(第18作、ピアース・ブロスナン主演)
「ダイ・アナザー・デイ (Die Another Day)(第20作、ピアース・ブロスナン主演)

なんかがあって、要点を挙げると ①強い語感の単語(No, Never, Onlyなど)、②時間・場所などを連想させる単語(Time, Dayなど)、③生死を連想させる単語(Live, Dieなど) を組み合わせて「『死闘』っぽい感じ」を表現するという名付け方。

非常に「らしさ」のあるネーミングだと感じる。

「タイトルの付け方」は一例に過ぎないけど、可能な部分は「伝統的な作法」を踏襲するのも、ファンサービスとしては重要。
「アップデート箇所」と「固定ファンへのサービス」とのバランスは、老舗的なビジネスほど気を遣うし難しい部分だけど、非常にバランスが取れていると感じた。

「悩める一人の男」ジェームズ・ボンドの描写に注目!

クレイグ版007に関して最もよく語られている側面ではあるけど、「悩める男」としての主人公 = ジェームズ・ボンドの人間性も描いている点は、筆者としても最も評価したい「アップデート項目」。

作品によって着目している要素は異なるけど、全5作で扱われた主な要素を羅列すると、
「辛い過去、野心、老いと孤独、プライドと名誉、憎悪と友情、愛情、家族と生命、そして死」といった感じになる。

一言でまとめてしまえば「『生きる』ことの『よろこびと苦しさ』」を、制作陣は主人公 = ジェームズ・ボンド に負わせているわけだ。

結果として、(単なるスパイ・アクションを超えた)現代に生きる私たちも共感できる「ヒューマン・ドラマ」としての要素も持つ点は、クレイグ版007の最大の変革点だったと言えそうだ。

 "No Time to Die" では、特に「愛情(の結末)&付随する『その他』」が描かれている。
クレイグ版ボンドの集大成ということもあり、人間性の描写も観応えがあって必見だと感じた。

別作品

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他作品の紹介になるけど、「悩める人間・ボンド」を描いた作品として定評があるのは、前々作(第23作)の「スカイフォール」(Skyfall, 2012)

近作の「ヒューマン・ドラマ」的な要素が気になる方は、合わせて観られると良い。
Amazonプライム会員なら、無料で視聴可能となっている。

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過去作と比較すると、シリアスな要素が強い

「イマイチな点」として挙げておきたいのは、前述した「良い点」の裏返し
クレイグ版007では「人間性の描写」や「価値観の多様性」などを盛り込んだ結果、必然的に「シリアスな感じ」も強くなっている。

結果的に、シリーズを通した特徴でもある「享楽的な感じ」が(多少なりとも)スポイルされている面は否めない。
特に本作は「全5作の総決算」なことも手伝って、全25作の中でも「最もシリアスな作品」かもしれないと感じた。

ただ、そんな中でも従来からの固定ファンにも配慮した「娯楽性」も、もちろん残されている

(詳しくは別の記事で述べるけど)「いちいち洗練されていて物欲を刺激されるアイテム」や英国らしいシニカルさも残る「軽妙なトーク」、「普通なら今、死にましたよ」というシーンが幾度となく繰り返される(良い意味での)「バカバカしさ」など、気楽に楽しめる面も多彩に残る。

言い方を変えれば「シリアスに観ても、お気楽に観ても楽しめる」、多彩な見方が可能な作品だと言うこともできそうだ。

別作品

007/スペクター [Blu-ray]


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余談だけど、前作「スペクター」(Spectre) は本作との関連も深いので、本作を鑑賞する前に予習しておくのがオススメ。

Amazonプライム・ビデオでも鑑賞できる模様です。

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まとめ:今後のシリーズの方向性にも期待!

007 / No Time to Die(パンフレット)

今回は、記事執筆時点 (2021.11) での "007" シリーズの最新作、"No Time to Die" について、(クレイグ版007の振り返りも含めて)感想と評価について書いた。いかがだっただろうか。

筆者としては(映画やカルチャーについて記事を書くのは初だったので)執筆にメチャ時間がかかりました…

"No Time to Die" の良い点・イマイチな点

伝統的な007作品の枠を超えた各要素のバランスの良さ
特に「悩める人間」ジェームズ・ボンドの描写に注目
過去作と比較するとシリアスな要素が強い

当初は「ボンドらしくない」と批判の声が強かったダニエル・クレイグの起用だけど、15年の時を経て「最高のボンド俳優」との評価も高く、筆者も同様に感じている。

今後もシリーズは続くだろうし、後続の俳優さんは大変だろうけど、シリーズの今後の方向性にも期待しつつ、楽しみに待ちたい。

引き続き、(一応、物欲系ブログなので)本作を見て気になったモノについて書いていきたい!

 

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