こんにちは、物欲紳士です。
今回は、腕時計好きの筆者的にも「とっておきの1本」を紹介したい。
この記事で取り上げるのは、ゼニス (Zenith) のクロノマスター エル・プリメロ (Chronomaster) 。
ゼニスの特徴と名作の振り返り
私物 (Ref. 03.2150.400) の良い点とイマイチな点
まずはブランド(ゼニス)と、本機の概略について見ていきたい!
ブランド(ゼニス)と、エル・プリメロ(1969ダイヤル)について
ゼニス (Zenith) について
ゼニス (Zenith) は、スイスの腕時計メーカー・ブランド。
1865年創業。
ゼニスは、元々機械(ムーブメント)に定評のあるブランド。
自社用の機械式ムーブメントを内製できる「マニファクチュール」としての側面もあり、高級ウォッチブランドと評価されている。
特に本記事で紹介する1本も搭載する、エル・プリメロ (El Primero) は有名。
泣く子も黙る(?)”ザ・クラウン" ことロレックス社が「デイトナ (Daytona) 」のベースムーブメントとして採用していた時期もある。
「エル・プリメロ」搭載のデイトナは、(のように)現在ではプレミア価格で取引されている。
「なぜ『エル・プリメロ』が高く評価されるのか?」はマニアックな技術論になるので割愛するけど、機械式腕時計の技術発展に貢献した名門としてリスペクトされているのがゼニスなわけだ。
またヴィンテージ・モデルも含めて「シンプルでお洒落な製品」が多いのも特徴。
「ファッション性の高さ」も、ゼニスの伝統だと言える。
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画像クリックで、外部サイトへ ( rakuten.co.jp)
例えばの腕時計なんかもそうだけど、ヴィンテージモデルでも古臭く見えず、新鮮さも感じられる。
この辺りは「永年、ほぼ同じデザインの製品を造り続けるブランド」(ロレックスやカルティエなど)にはない魅力。
反面、流行に応じてデザインを変える傾向もあって「資産価値」の面では弱い側面もある。
まあ、「ファッション性」と「工芸品的な資産価値」の2つは、そもそもバーター的な関係にあるのも事実。
「お洒落だけど、その割に入手がしやすい名門」というゼニスの立ち位置に、魅力を感じる方も多いはずだ…!
ゼニスの腕時計については、下記記事で他にもオススメ製品を紹介している。
合わせてチェックしてみてほしい…!
クロノマスター エル・プリメロ(1969ダイヤル)について
クロノマスター (Chronomaster) は、ゼニスのクロノグラフの製品ライン。
中でも銘機「エル・プリメロ」を搭載した製品がラインナップの中心となっている。
エル・プリメロ (El Primero) は、ゼニスのクロノグラフムーブメント。
"El Primero" はエスペラント語で、英語で言うと "The First" の意味。
自動巻き・カレンダー機能に加えて毎時36,000振動のハイ・ビート、50時間のパワーリザーブを誇り、機構的にも革新的な設計のムーブメント。
単独機種としては最も有名な腕時計ムーブメントの1つと言っても良いかもしれない。
エル・プリメロ搭載の定番モデルとしてまず有名なのは、名作として知られるのA384。
径37mmというヴィンテージなサイズ感と、虚飾を廃した「白x黒」の文字盤装飾が格好良い。
一方でより分かりやすく「ゼニスらしさ」「エル・プリメロらしさ」があるのは、3色に塗り分けられたインダイヤル(小窓)が特徴の、通称 "1969ダイヤル" と呼ばれるデザイン。
A386と呼ばれるモデル(写真)が、初代モデルとなる。
のモデルのようにケースサイズや細部デザインを変更したバージョンもあって、バリエーションは数多い。
筆者が所持する個体は、「38mmの小径サイズ」かつ「文字盤側から機構部を見せる装飾(オープンハート)がない」のが特徴の Ref. 03.2150.400/69.C713。
"1969" というのは、エル・プリメロの発売年。
初代モデル (A386) のデザイン・アイコンを、ほぼ忠実に守る製品でもある。
なお昨今の復刻ウォッチ流行の流れもあってか、本機は今年(2021年)に「クロノマスター・オリジナル」という、より復刻を意識したシリーズに再編された(写真)。
外観はよりクラシックな方向に回帰しつつ、新開発ムーブメント (Cal.3600) に上級移行している。
筆者保有の個体は現行モデルではなくなったけど、「3色ダイヤルとオールド・ムーブ (Cal.400) の組み合わせ」という魅力が残る1本になったとも言えそうだ。
ゼニスのエル・プリメロ(1969ダイヤル):良い点と、イマイチな点
筆者のエル・プリメロは、比較的最近(2019年)に中古で入手。
着用頻度はそれほど高くはないけどお気に入りで、「とっておきの1本」となっている。
3年ほど使い続けた上での良い点・イマイチな点は、下記の通り。
(ヴィンテージではないけど)「らしさ」があるデザイン
小径ケースとムーブメントとの相性の良さ
細部の造りの質感の高さ
「ムーブメントの銘機」を所有する満足感
ライバルと比較すると資産価値的には今ひとつ
ムーブメントの機能面では古風な一面も…
以下で、それぞれについて述べていきたい…!
ヴィンテージではないけど、「らしさ」を感じるデザイン
オリジナル・モデル (A386) と筆者の個体とを比較すると、細部の刻印などは異なるものの、基本デザインはオリジナルを踏襲している。
具体的には、下記のような特徴。
・直径38mmのケースサイズ
・3色のインダイヤルのカラーリング
・4時位置に配されたカレンダー窓
・赤色に塗られたクロノグラフ針
50年以上が経過していることも踏まえれば、オリジナルに対する再現性は高いと言えそうだ。
もちろんヴィンテージ・モデルとは多少の差異はあるけれど、ゼニスの近年のレギュラーモデルの中でも「伝統の外観を受け継いだ『基本デザインのモデル』」とみなすことができる。
「ヴィンテージらしさ」が好きな方には、堪らない1本だと言えそうだ…!
小径ケースとムーブメントとの相性の良さ
ケースサイズ (径38mm) は、現在の腕時計製品では小径サイズだと言える。
扱いやすいサイズだし、腕が細めな筆者には収まりも良い。
さらにムーブメント(エル・プリメロ、Cal.400)は設計年次が古いこともあり、基本的に小径サイズ(径40mm以下)向けにデザインされている。
現在は生産終了した模様だけど、大径サイズの製品も存在した。
個人的な感覚だけど、サイズが拡大するほど「寄り目」となり外径サイズとインダイヤル位置のバランスが良くない印象を受ける。
オリジナルサイズのデザイン・バランスを取るか、ビッグサイズの迫力を取るかは人それぞれだけど、筆者的には前者を推す。
細部の造りの質感の高さ
金額が金額だけに当然ではあるけれど、細部の造りの質感は高い。
風防(前面のガラス)はサファイアクリスタル。
反射率を低減するコーティングが施され、高級感が漂う。
消耗品ではあるけど、付属ベルトはクロコダイルの本革。
バックルは一見通常のバックルに見えて、実はDバックル。
鍛造・切削で加工されていて、質感も上々。
裏蓋はシースルーバック仕様。
ゼニスは伝統的に「機械は一流、外装の仕上げなどはそこそこ」なメーカーだった。
だけど、現在はルイ・ヴィトンを擁するブランド資本 "LVMH" の一員。
現行製品にはグループ内の他企業からのノウハウも注入されているはずで、所有感に関わる細部の仕上げには抜かりがない。
「ムーブメントの銘機」を所有する満足感
何と言っても本機の「最大の魅力」は、「クロノグラフ・ムーブメントの傑作」と言えるエル・プリメロ (Cal.400) を所持する満足感にある。
筆者的には「ムーブメントの薀蓄」にこだわるよりは、腕時計をファッションとして楽しみたいとは感じる。
…とはいえ、機械式時計の機構部に「男らしいメカっぽさ」を感じ、惹かれるのも事実。
「メカっぽさ」の観点で言っても色々な魅力の感じ方があるけれど、「クロノグラフ機構」に加えて「ハイ・ビートの針の動き」も備えるのがエル・プリメロ。
量産ムーブメントの中で、「メカっぽさ」の観点では頂点の一端に位置することは間違いなさそうだ。
ライバルと比較すると、資産価値的には今ひとつ…
ここからはイマイチだと思う点にも触れておきたい。
説明した通り、本機の特徴は「堂々たる価格」とデザイン・機構面での「定番性」。
例えば似た特徴の「スポーツ・ロレックス各種」や「オメガ・スピードマスター」は価値が高く、安定している。
本機にも資産価値を期待したくなるけど、結論から言えばリセールバリュー的には今ひとつ…。
売却する場合にも「基本的に買い値以上で売れることはない」と考えるのが良い。
その理由は、「いわゆる『3大ブランド』(パテック・フィリップなど)やロレックスなど」と、ゼニス社との「モノの造り方の違い」にあると考えると分かりやすい。
前述した通り、ゼニスの美点の1つにあるのは「デザイン面でのセンスの高さ」。
これは言い換えれば「流行に応じて外観をコロコロ変える」ことを意味している。
実際、エル・プリメロもデザイン・バリエーションは結構多く、かつ「新デザインの投入」や「旧製品の廃盤」もそこそこ多い。
すると旧モデルは「古臭く見える」ことになる。
これはファッション・ウォッチ的な傾向で、「資産価値が出づらい」ことに繋がるわけだ。
ゼニス以外のブランド、例えばIWCやオメガなども似た傾向を持つけれど、「流行を捉えたファッション性」と「工芸品的な価値」の2点は、そもそも相反する要素。
このクラスの製品に「リセールバリューを求めるか否か」も人それぞれだけど、「ゼニスを選ぶ」ということは「『資産価値』よりも『お洒落さ』を優先させたい」という価値観の表れだとも言えるわけだ…!
ムーブメントの機能面では、古風な一面も…
前述の通り、銘機エル・プリメロを所有できる点は、本機の大きな魅力の1つ。
…だけど、エル・プリメロは50年以上前に設計されたオールド・ムーブメント。
機能的な面では、現代的でない側面も見られる。
まず、エル・プリメロ (Cal.400) にはハック機構がない。
要するに時刻合わせの際に秒針は止まらず、(秒針はあるけど)秒単位での時刻合わせは困難。
オメガ・スピードマスター(手巻き)の歴代ムーブメントなんかが代表格だけど、設計年次が古いムーブメントにはままある仕様。
「秒まで正確」という点にはこだわらず、スマホも併用するおおらかさも必要だと感じる。
あと、竜頭での時刻・カレンダーの調整が独特なのも特徴の1つ。
カレンダー付きの腕時計の場合、竜頭は「2段式」となる。
一般的には「1段目がカレンダー、2段目が時刻」だけど、エル・プリメロの場合は前後が逆。
無用意なカレンダー操作は故障に繋がるから、操作手順も既存製品と同じに設計するのが「現代的な設計思想」ではあるけれど、そうではない。
随所に「設計年次の古さ」に起因するおおらかさも垣間見えるけれど、「そういうもの」として愛用できる方にオススメしたい機械ではある。
まとめ:「オールド・ムーブメントの良さ」を感じる1本!
今回はゼニス (Zenith) の往年のアイコン、エル・プリメロ (El Primero) と1969ダイヤルの魅力について、手元の製品(クロノマスター エル・プリメロ、Ref. 03.2150.400)を紹介しながら掘り下げてみた。
(ヴィンテージではないけど)「らしさ」があるデザイン
小径ケースとムーブメントとの相性の良さ
細部の造りの質感の高さ
「ムーブメントの銘機」を所有する満足感
ライバルと比較すると資産価値的には今ひとつ
ムーブメントの機能面では古風な一面も…
総合評価 ★★★★★ 3.7
デザイン ★★★★★ 5.0
「ヴィンテージからの伝統」と「お洒落さ」が共存するデザイン
機能性 ★★★★★ 3.0
銘機を搭載するも「趣味の領域」と言えなくもない…
着用感 ★★★★★ 4.0
手頃なサイズ感、扱いやすいバンドで良好な装着感
価格 ★★★★★ 2.0
高額なのは致し方ないけど、リセールバリューの低さは気になる
耐久性 ★★★★★ 4.0
ロングセラー商品でもあり、問題はなさそう
その他 ★★★★★ 4.0
「銘機を所有する」という、格別の満足感
色々と書いたけれど「語り継がれる銘機」を搭載しつつも「誰が見ても分かる成金っぽさ」もなく、さり気なくお洒落、というのが本機の最大の良さ。
最新モデルは最新のムーブメント (Cal.3200) にバトンタッチしたけど、「歴史のある機械」を愛でるのも腕時計趣味の奥深さではないかと感じる
本記事でレビュー
ゼニス エルプリメロ クロノマスター 36000VPH 03.2150.400
エル・プリメロ再生以来の基本形 (Cal.400) を踏襲した1本。
売り切れ御免(?)で、今後は中古での入手になりそう…
最新モデル
ゼニス クロノマスター オリジナル 1969 03.3200.3600
最新式ムーブメント (Cal.3200) を搭載した新型。
クロノグラフ針(赤針)が6秒で1周する新機構。
デザインの面でも「原点回帰」が感じられる1本。
(★おまけ)購入品の製品データ
メーカー ゼニス (Zenith)
ブランド エル・プリメロ 36000VpH (El Primero)
型番 03.2150.400/69.C713
サイズ 38mm(ケース径)
重量 80g
素材 (ケース)ステンレス
(風防) サファイアガラス
(ベルト)アリゲーター
ムーブメント 機械式クロノグラフ (Cal.400)
防水性能 10気圧
製造国 スイス
価格 ¥430,000-(中古価格)
購入年月 2019年6月
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