こんにちは、物欲紳士です。
この記事では、腕時計が好きな筆者が最も愛用している、ロレックス (Rolex) のエアキング (Air-King, Ref.14000) をレビューする。
現行モデル中にはない、究極のシンプルさが特徴のロレックス。全ロレックス中、最強の汎用性があると考える1品だ。
ロレックスとエアキング、Ref.14000について
ロレックス(Rolex)について
ロレックス (Rolex) は1905年に英国で創業、現在はスイスの中心都市・ジュネーヴに本拠を構える腕時計メーカー。
名前を知らない方は少ないと思うけど、「ブランドとしての記号性」「資産価値」という点で、「高級ブランド」のイメージを象徴するメーカーの1つ。世界的な知名度がある。
「ロレックスにブランド価値がある、根源的な理由」については、別の機会に私論を書きたいと思う。
簡潔に述べると「後発のメーカーながら、『様々な発明・技術革新』や『優れた広告・ブランディング』を行い、『腕時計を普及・一般化させること』に大きく貢献した」点が評価されている、と考える。
この意味では、「現代のスマート・ウォッチで言う、アップル的な存在だった」とも言える。
当のアップル・ウォッチも、ロレックスなどが作った「多くの人が腕時計を付けるという文化」がなければ存在し得ない、ヘンテコ商品になっていた可能性だってある。
エアキング(Air-King)について
話を元に戻そう。
今回紹介するエアキングだけど、これは昨今の日本語の使い方(エア〇〇、とか)からすると「裸の王様」っぽい、珍妙なネーミングだ。
どういう経緯で最初にこの名前が付いたのかは不明だけど、エアキングは全ロレックス中、最も廉価な入門機種としての長い歴史を持っていた(1940年代から存在)。
ロレックスのロゴが「王冠」であることからも「裸の王様」というのは、あながちトンデモ翻訳ではないのかもしれない。
Ref. 14000について
エアキングの長い歴史の中で、今回紹介するRef. 14000は1990年〜2000年に生産されたモデル。
筆者の所有モデルは最終期のもので、2000年の生産。
中古で購入して、はや12年が経過している。
このモデルの特徴を端的に言うと、それは究極のシンプル・ロレックスだということ。
主な特徴を列記すると、以下となる。
ややクラシカルな雰囲気が漂う、ケース径34mmの小径仕様
(他のカラバリもあるけど)外装部品と同色のシルバー色の文字盤
バーインデックス(文字盤に数字記載がない)
クロノメーター規格ではない自動巻ムーブメント(Cal. 3000)を搭載
カレンダー機能はなし
簡潔な3連タイプのブレスレット
ケースサイズについて:
ロレックスの現行メンズモデルは、多くが36mm以上に大径化している。
このモデルは生産開始が30年以上前で、当時の時代背景もあってサイズはやや小ぶり。
筆者のような腕が細めの男性にも収まりが良い。
現代の大径化した時計に慣れた目からすると視認性は若干落ちる反面、着用感や取り回しの良さを感じられるサイズ感だ。
文字盤について:
Ref.14000には黒・紺をはじめとして様々な文字盤色があるけど、筆者はケース・ブレスレットとの色味の統一感を狙い、シルバー色のものをチョイス。
また文字盤デザインも色々とバリエーションがあるが、今回紹介しているのはバーインデックスと呼ばれる、文字盤上に数字表記がない仕様。
ムーブメントについて:
搭載しているのはクロノメーター認定(出荷時の精度保証)のないCal.3000。
スタンダードな3針タイプで、カレンダーもなし。
ブレスレットについて:
ロレックスの金属ブレスレットにはいくつかのデザインがあるけど、本品は1つのコマが横方向に3分割された、一般に「3連タイプ」と呼ばれているもの。
スポーツモデルの多くが採用するデザインで装着感に特筆性はないけど、スーツにもカジュアルにも合う対応力が魅力。
全体的に:
デザイン・スペック的にはかなりミニマル。
余談だけど、過去に無印良品の店舗で「本品から王冠のロゴを取り除いた感じのソックリモデル」が売っていたのを見た際には苦笑した。
確かに無印ファンが好きそうなデザインにも思える。
Ref.14000:気に入っている4つのポイント
筆者がこの時計を日々愛用している上で気に入っているのは、以下の4点。
合わせるファッション・TPOをほぼ選ばない「汎用性」
オイスター系のロレックスの中で、最強の「ステルス性」
豪華すぎないことによる、さり気ない「お洒落感」
長期間愛用していく上での、優れた「実用性と信頼性」
下記にて、詳細を述べていきたい。
合わせるファッション・TPOをほぼ選ばない「汎用性」
ファッションアイテムとして「(コーディネート・TPO的に)使用できる機会が多いか?」は重要だけど、この時計はシンプルであるゆえ、合わせられる服装や状況は相当広い。
TPO的には、フォーマルな状況に対してはビジネスから冠婚葬祭まで対応可能。
カジュアルな状況でも、本格的な運動(登山やジョギング、水着など)にはそれ向けの時計がある気はするけど、これら以外であればチグハグな感じになることはまずない。
コーディネート的には全体がシルバー1色なので、ゴールド系の指輪やアクセサリーを多用したりしない限り、他のアイテムとの色合わせを考え込む必要はほぼ皆無。
「どの洋服と小物を着るか」は毎日の楽しみであると同時に、煩わしさでもある。
幅広いTPOやコーディネートに全方位対応できるアイテムの存在は心強いし、結果として忙しい朝のストレス削減に繋がる。
オイスター系ロレックスの中で、「最強のステルス性」
連綿と続くロレックス主要モデル(オイスター)のラインナップ中、「ロレックスしてます」というアピールが最も控えめなのがこの時計になるはず。
ロレックスの時計には、愛用する上で避けては通れない課題がある。
それは「ブランド価値が高く、製品仕様の変更に関して保守的なメーカーでもある」ため、「(人によっては)相手から妬みを持たれる」「お洒落感がなく、ダサく見える」という問題だ。(ベンツのクルマとかとも似ている)
この問題をクリアするには他ブランドの時計をするのが1番だけど、ロレックス製品を使う前提から言えば、このモデルは「最強のステルス性」を誇る。
デザイン的にも無印良品的な感じだし、文字盤の色とロゴが同化しているため(時計を注視されない限り)王冠マークも目立たない。
「これ見よがしな印象」が相当緩和される。
…とは言っても腕時計は分かりやすいステータスシンボルであり、「相手のことを知るために時計を注視してくる人」というのは、ある一定数存在する。
長年使用してきた中で、他の人からこの時計について聞かれたり、「時計を注視されている」という視線を感じた幾多の経験がある点は付記しておく。
豪華すぎないことによる、さり気ない「お洒落感」
ロレックスはビンテージ品に価値があるブランドの一つだけど、ビンテージの腕時計というのは高価なモデルでも、「モノとしての造り」はショボいことが多い。
100万円のビンテージ時計でも、現代の商品ならば数万円で買える時計と同じ外装の仕様だったりする。そして製造年次を遡るほど、この傾向は強まる。
これは当然のことで、腕時計というのは工業製品なので、製造技術は日進月歩している。
製造技術の進歩というのは、「昔は高価で使えなかった材料や加工方法を、安価に活用できるようになる」という「コスパの進歩」という一面もある。
特に腕時計の外装のような金属加工の分野は、こうした「コスパの進歩」が著しく、このため「昔のモノを今見ると、コスパが悪く見えてしまう」のだ。
詳しくは下で「不満な点」として述べるけど、今回の腕時計も現行モデルと比較すると、ショボく感じられる部分が散見される。
でもそれらは全体としては「繊細さ」とか「さり気なさ」に繋がっていて、むしろ「お洒落感」が高いと思っている。アバタもエクボ的だけれど…。
長期間愛用していく上での、優れた「実用性と信頼性」
最後に、ロレックスは世界的な定番品であることもあって、高級時計の中で「実用性と信頼性」に関してはピカイチ。
時計本体の実用性能や耐久性、アフターサービスのどれを取っても安定感・安心感がある。
Ref.14000:イマイチな3つのポイント
それでは完璧なのかと言うとそうではなく、不満に感じてしまう点もいくつかある。それは下記の3点。
バックルが板金ベースで強度が低く、質感的にもショボい
ブレスレットの固定方法が「シングルロック仕様」
メンテナンス料金が高い(というか値上がりした)
バックルが板金ベースで強度が低く、質感的にもショボい
腕時計のブレスレットのような細かな金属部品に使われる金属加工の方法は、大まかに書くと「金属の塊から部品を削り出す『切削加工』」と「板状の素材を曲げたり切ったりして加工する『板金加工』」の2種類がある。
「切削加工」は精度に優れる加工方法で、飛行機の機体などに多用されている。
「板金加工」は自動車の車体などに使われていて、比較的コスパに優れた加工方法だ。
この時計のブレスレットは、3連状になっているコマ部分は「切削加工」で、バックル部は「板金加工」で作られている。(※近年のモデルは、全体が「切削加工」にアップグレード!)
上の写真からも分かるように、率直に言ってバックルやクラスプ(留め具)は板金感がモロ出しで安っぽく、あまり好みではない。
当時の技術でも多少コストを掛ければ「切削加工」にすることはできたはずなので、やや残念。
また、板金加工で作られたクラスプ(留め具)は強度的に弱く、このこともあって「着用中に外れる」等の事故が起きやすい。
落下による故障や破損の原因になるので、着用中に誤動作で外れてしまう場合は調整が必須。
ブレスレットの固定方法がシングルロック仕様
ブレスレットの固定方法は補助ロックのない、シンプルなシングルロック仕様。
この腕時計のテーマである「シンプルさ」には符号するけど、補助ロックがないことは前の項で書いた「バックルが誤動作で外れる」ことの原因にもなっている。
(日本国内ではそれほど心配はないけど)ひったくりなどの盗難リスクも高いのでは?と思える。
安心感を考えると補助ロック付き(ダブルロックなど)の方が、個人的には好み。
メンテナンス料金が高い(値上がりした)
機械式時計を永く使うためには、定期的にオーバーホール等のメンテナンスが必要。
ロレックスはこの分野のリーダーなだけにこのことを我々以上に理解していて、修理拠点やサービスが充実している上、料金も(公式修理にしては)比較的良心的だった。
…「だった」と書いたのは、上記は既に過去の話だということ。
Ref.14000はムーブメントの構成が単純なこともあり、10年前くらいまではメンテナンスの基本料金(部品代は別)はおよそ「3万円+税」くらいだった。
しかし最近改めてメンテナンスに出したところ、執筆時点では基本料金だけで「5万5000円+税」に爆騰した模様。
この料金は公式修理とは言え結構高額だし、以前は良心的だっただけに余計に印象が悪い。
より安価な一般の修理業者もたくさんあるが、一旦正規品ではない部品に交換されてしまった場合は公式修理を受けられなくなる上に「準ニセモノ」的な扱いとなり、リセールバリューに影響する。
このため、修理代の多少の高騰には目をつぶらざるを得ないというのが現実。
まとめ
今回はロレックスのエアキング、Ref.14000についてレビューしてみた。
合わせるファッション・TPOをほぼ選ばない「汎用性」
オイスター系のロレックスの中で、最強の「ステルス性」
豪華すぎないことによる、さり気ない「お洒落感」
長期間愛用していく上での、優れた「実用性と信頼性」
バックルが板金ベースで強度が低く、質感的にもショボい
ブレスレットの固定方法が「シングルロック仕様」
メンテナンス料金が高い(値上がりした)
現在では新品で購入できないだけに根気強いリサーチが必要だけど、リセールバリューも含め、その価値がある1品だと感じる
【補足:現行モデルだと…】
なおロレックスの現行モデルの中で、今回紹介したRef.14000に最も近い製品はオイスター・パーペチュアルのRef.124200(径34mm)またはRef.126000(径36mm)。
上の時計、全体的な印象は今回の時計にかなり近いけど、時分針やインデックスのデザインはより力強く、メリハリがある印象。裏を返せば若干大味な感じもする。
だが現行モデルの精度や機能性の高さは大いに魅力的なので、オススメできる1本。
なお上記モデルを含め、ロレックスの現行オススメ製品を下記記事でピックアップしている。
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