こんにちは、物欲紳士です。
この記事では、腕時計について書きたい。
この記事で紹介するのは、カルティエ (Cartier) のタンクソロ LM (Tank Solo) 。
まずはブランド(カルティエ)と、この時計について見ていきたい。
前置きは良いので本題(製品レビュー)を読みたい方は ★本題へ★をクリック!
ブランド(カルティエ)と、その腕時計について
カルティエについて
カルティエ (Cartier) は、フランスの宝飾ブランド。
1847年創業。
英国王エドワード7世に、「王の宝石商、宝石商の王」と称された、欧州の名門ジュエラー。
現在でも、数多くの王室御用達の称号を手にしている。
カルティエの腕時計について
その他の多くの名門ジュエラーやハイファッションブランドと同様、カルティエも幅広く腕時計を販売している。
メンズ腕時計の世界では、ジュエラーやファッションブランドなど「ウォッチメーカー以外の腕時計」は、概して評価が高くない。
こうしたブランドのアイテムは、得てして「ファッションアイテム」と見られがち。
「伝統」や「工芸品的な価値」を重視する腕時計愛好家の印象があまり良くないことが、その理由だと思われる。
そんな中、カルティエの腕時計は他のジュエラーのそれらとは、段違いの評価を受けている。
この理由としては「男性用腕時計を初めて販売したブランドが、他ならぬカルティエである」という事実が大きい。
腕時計は、懐中時計から進化したもの。
「腕時計の始まりは何か」は、「どの時点」を始まりとみなすかによって、諸説がある。
けれども「最初に男性用腕時計を販売したのはカルティエ」というのは、ほぼ定説。
時は1904年、ブラジルの飛行機王・アルベルト・サントス=デュモンのために、カルティエが「飛行機操縦時のため、腕に付ける時計」を製作。
これがのちに一般向けに量産販売されることになった。
それが現在まで続くカルティエの看板ライン、サントス (Santos de Cartier) の始まり、とされている。
カルティエは「男性用腕時計の老舗」でもあり、それゆえ腕時計ファンからも一目置かれる存在なのだ。
カルティエの腕時計ラインナップ
上で述べたサントス以外の、主なカルティエの腕時計製品をピックアップして紹介する。
◆タンク (Tank)
1919年登場。ネーミングの由来は、直前の第一次大戦で登場した戦車(タンク)。
ラグと一体の左右ベゼル部を持つケース形状が、戦車のキャタピラに似ていることに由来。
サントスに次ぎ、カルティエを象徴する腕時計ライン。
◆パシャ (Pasha de Cartier)
1930年代、モロッコのパシャ(太守)のために製作された防水腕時計が起源。
水場での使用を想定し、竜頭部に防水用のフタ部品が付いているのが特徴。
独創性と、エレガントさのあるスポーツウォッチ。
ステンレス製モデル(パシャC)が '90〜 '00年代に大流行したので、ご存じの男性も多いはず。
◆ロンド (Ronde de Cartier)
主張を抑えたデザインと、クラシカルな丸形ケースが魅力のロンド。
カルティエらしい繊細さ、エレガントさを感じさせるシリーズ。
カルティエのオススメ製品については、下記で別途ピックアップして紹介している。
合わせて見てほしい!
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カルティエのタンクソロについて
以上のように、カルティエの腕時計ラインナップには、高級ジュエラーならではの「クラシカルさとラグジュアリー感」「繊細さが漂うエレガンス」「洗練されたセンス」を感じさせるモデルが揃う。
そんな中で、筆者が自分用の1本として選んだのは、タンクソロ LM。
タンクソロ (Tank Solo) は、タンクシリーズのベーシック・ライン。
カルティエの腕時計誕生100周年にあたる、2004年に発表。
タンクソロの特徴は、上述したような「ブランドの特徴であるエレガントさ」や「タンク・シリーズの伝統スタイル」を継承しつつ、「時代に合わせたモダンな感覚」を取り入れた点にある。
具体的には、下記のような点がポイント。
角型ケースは継承しつつ、フラットでシンプルなベゼル形状に
ベースモデルはステンレス製ケースで、価格もリーズナブル
モダンな文字盤デザインのバリエーションも存在
上項のブランド紹介でも分かると思うけど、カルティエのストーリーには「いかにも」な王侯貴族感漂うエピソードが多い。
製品や店舗の雰囲気は、良く言って「クラシカル」。
そこから醸し出される特別感は、カルティエのブランドとしての魅力ではある。
一方で現代的な価値観で捉えると、これらはイメージ的に「老人くさい」と言えなくもない。
主要顧客である富裕層のニーズに、一部マッチしていないのも事実だ。
ブランドの伝統は受け継ぎつつも部分的には時代のニーズに応え、若返りを図る必要があるのだろう。
タンクソロは、外観上は「伝統のタンクらしさ」を踏襲しつつ、前面のベゼルはフラットな形状で、モダンな雰囲気に。
さらにベースモデルのケース素材は貴金属ではなく、ステンレスを採用。
実用性・合理性を求める現代のユーザーの声に応えている。
さらに写真のモデルのような、従来になくモダンな文字盤デザインのモデルもラインナップ。
以上をまとめると、リーズナブルな価格に加え、どのモデルを選ぶかにより「クラシック感 or 現代的なセンス」を選べる懐の深さが、タンクソロ・シリーズの特長だと言えそうだ。
タンクソロの良い点と、イマイチな点
筆者私物のタンクソロは、2015年冬に新品で購入。
この腕時計を5年程度使ってきた上での良い点・イマイチな点を挙げると、下記のようになる。
カルティエらしく、エレガントで洗練されたデザイン
実用的なクオーツながら、クラシカルさも漂う2針式
薄型・小ぶりで取り回しが良いサイズ感
付属の革ベルトとバックルの質感
現代の腕時計としては、防水性能はイマイチ
以下で、それぞれについて述べていきたい。
タンクソロLMの良い点
カルティエらしく、エレガントで洗練されたデザイン
タンクだけでなく、他シリーズのカルティエの腕時計でも共通して使用される、ローマ数字のインデックス。
20世紀初頭のクラシカルな雰囲気や、エレガントな価値観を現代に伝えるデザインだ。
ブルーの針、同様にブルーの石とアールデコっぽい装飾が施された竜頭など、ディテールも繊細でエレガント。
また、ただクラシックな雰囲気なだけではなく、フラット化された前面の造形をはじめ、余計な装飾を省いた、シンプルさを感じさせるデザインとされている。
スーツやフォーマルウェアと合わせても良いし、カジュアルな服装でサラリと付けても似合うように考えられた、非常に洗練されたデザインだと言える。
実用的なクオーツながら、クラシカルさが漂う2針式
今回紹介のモデルは、ムーブメントはクオーツ式。
上写真は別モデル、メンズサイズのタンクソロ XL。
こちらは大型ケース・機械式のムーブメントで、秒針・カレンダーも搭載した「現代的な高級時計」。
一方で、女性用サイズ(SM)と男女兼用サイズ(LM)は前述通りのクオーツ式。
カレンダー・秒針のない、シンプルな2針式になる。
クオーツ・ムーブメントなので、秒針を付けることは簡単なはず。
あえてそうしないあたりは「伝統に忠実」な美意識を感じて、個人的には好み。
旧式の機械式時計のムーブメントは、時刻合わせ時に秒針を停止させる機能(ハック機構)がないキャリバーが多く、「秒針が一応あるが、分以下の時刻の正確性は望めない」時計が多かったのだ。
現行製品では上写真のオメガ・スピードマスター・プロフェッショナルが代表的。
さらに「日差で分単位のズレが生じるのは当たり前」という感覚もあったから、昔のシンプルな腕時計には「秒針がない」モデルも多い。
上写真のジャガー・ルクルトのレベルソ・クラシックは、その1例。
タンクソロのような2針式の腕時計は「時間の計測技術が未熟で、それゆえに時間に対しておおらかだった時代の名残り」を残しているとも言える。
このように考えると、技術の進歩と引き換えに、私たちが失った価値観が存在する気もする。
ちょっと素敵な感じがしてきた。
薄型かつ小ぶりで、取り回しが良いサイズ感
極めて薄型・小ぶりで主張を抑えたシンプルなケースサイズも、タンクソロの特徴。
大柄な時計のような視認性の良さはないものの、邪魔にならないサイズと軽さで、非常に取り回しが良い。
さらに言えば、「シンプルな文字盤デザイン&革ベルト」はドレスウォッチの定番ディテールだけど、角型ケースはよりフォーマル感が際立つフィーチャーだ。
この理由について、個人的に思うことを述べる。
上の写真のように、スタンダードな丸形の時計と比較すると、角型ケースのタンクソロはそのデザイン上、ケースサイズは小さいがベルトは逆に太い。
結果的に時計本体という「機械的な要素」の存在感は薄く、ベルトという「アクセサリー要素」の比重が大きくなる。
「機械ではなく、ブレスレットをしている」という割合が大きくなるので、必然的にドレッシーな印象を与えるわけだ。
タンクソロLMのイマイチな点
付属の革ベルトとバックルの質感
上で述べたように、タンクソロのようなシンプル系のスクエアな腕時計は、革ベルトの存在感が強いスタイル。
ゆえに革ベルトの質感が重要となる。
だけど、肝心の革ベルト・バックルの質感はイマイチに感じて、あまり好きではない。
牛革型押しタイプの革ベルトが付属しているけど、「売却時用」に使わずに取っておいて、(純正品にこだわりがなければ)普段は汎用品を使うのがオススメではある。
筆者が使用していて、特にオススメする革ベルトは下記の製品。
日本の時計バンドメーカー、CASSIS (カシス)の製品。
ウロコ模様が抑えめなカイマンワニの素材と光沢感がお洒落。
さらにステッチがないシンプルさ・ベルトの薄さなど、控えめなデザインで腕時計本体との相性も良い。
価格も本ワニ革のベルトとしてはリーズナブルだと思う。
率直に言って製品に付属のベルトより、このベルト方が今回の時計に似合う気がしている…
筆者もネイビー・黒の2本を保有、ブラウン系の色味の購入も検討中。
複数の色味の革ベルトを購入して、付け替えて楽しむのがオススメだ。
ベルトの頻繁な付け替えを想定するなら、バネ棒のクリッカー加工を依頼するようにしよう!
現代の腕時計としては、防水性能はイマイチ
仕方がない点だけど、防水性能は日常生活防水。
雨降りやお手洗い以上の、本格的な水場での使用は、避けた方が無難。
これはケースやデザインの構造上、仕方がない点もある。
角型ケースの構造上、スクリューバックではなくビス止めにより固定される裏蓋、はめ込みのみで固定される角型の風防(前面のガラス)などは、防水上は不利。
日常でも使えるデザインでありながら、日常生活防水止まりなのは残念だが、逆に「日常生活レベルは保証してくれている」点をありがたく思うべきなのかもしれない。
実際、お洒落なヴィンテージ・ウォッチ専門店でタンクのヴィンテージ品に心惹かれつつ、「防水性は非保証です」という店員さんの言葉に、購入を諦めた方も多いのではないだろうか。
日常的な使用に対する防水性の保証がある点は、多雨な日本で新品腕時計を購入するメリットの1つだと言えるだろう。
まとめ:往時を偲びつつ、サラリと付けこなしたい1本
今回はカルティエ (Cartier) の腕時計のアウトラインを紹介しつつ、私物のタンクソロ・LM (Ref. W5200003) をレビューしてみた。
カルティエらしい、エレガントで洗練されたデザイン
実用的なクオーツながら、クラシカルさも漂う2針式
薄型・小ぶりで取り回しが良いサイズ感
付属の革ベルトとバックルの質感 →汎用品を付け替えて使用!
現代の腕時計としては防水性能はイマイチ
様々な個性を選べるタンクシリーズのラインナップ中でも、今回のモデルは「ベーシックな仕様で、クラシカルな雰囲気を味わえる」1本。
率直に言えば、最近の腕時計スタイルのトレンドである「押し出し感」には乏しく、秒単位で時間を確認できないのも、不便と言えば不便。
…だけど、そういうことは大きな問題ではない。
タンクソロ・LMは、細かな時間には捉われない心のおおらかさを持った上で、サラリとお洒落に付けこなしたい、優雅な大人のための腕時計。
もしこの腕時計を自分のスタイルにできたら、あなたも立派な紳士淑女だろう。
筆者自身はまだそうなれていない気がするけど、「より良い大人になりたい」という意欲を持たせてくれる1本なのだ
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