こんにちは、物欲紳士です。
この記事では、イタリアンなブルゾンを紹介したい。
今回紹介するのは、50(チンクアンタ)のスエードブルゾン。
まずはブランドと、この形のブルゾン(いわゆるヴァルスター型)について紹介していきたい。
50(チンクアンタ)と、スエードブルゾンについて
50(チンクアンタ、Cinquanta)について
チンクアンタ(Cinquanta)は、イタリアのレザーウェアのブランド。
1973年、フィレンツェにて創業。
チンクアンタのジャケットの特徴は、イタリアのブランドらしいスタイリッシュさと、ハンドメイド感にある。
今回紹介するブルゾンも、基本的には中高年層向けのスタイルになるはずだけど、シルエットはシェイプされていて、非常にスタイリッシュ。
仕上げにも随所に「手作業感」が感じられる。好みが分かれると言えばそうだけど、個人的には気に入っているポイントだ。
スエードブルゾン(ヴァルスター型ブルゾン)について
今回紹介するスエードブルゾンは、いわゆる「ヴァルスター型」と呼ばれるブルゾン。
オリジナルは、やはりイタリアのヴァルスター社 (Valstar) が1930年代に発売したもの。
一説によると、現代に繋がる「ブルゾンの原型」とも称されるアイテムだ。
ヴァルスター・ブルゾンの特徴 基本はスエード(特にゴートスエード)の素材
襟、裾、袖口はリブ仕様
前立てはボタン仕様。襟には2個のボタン
ボタン付きのパッチフラップポケット
こういうスタイルは(下記記事で紹介した)バラクータのG9ジャケットなどが発売されるより前の、まだジッパーがなかった頃のクラシカルなスポーツ・ジャケットのスタイルだ。
さらに、スエードとリブニット素材を同時に使うという発想は、何ともイタリアらしい贅沢な仕様。
スタイルも仕様もイタリアンな、大人の休日ジャケットなのだ。
翻って今回のチンクアンタのブルゾンを見てみると、上記のディテールを大体踏襲しているけど、袖口はリブではなく、良くあるボタン仕様の切羽となる。
恐らく現代的なモディファイとして、袖口をロールアップした着方もできるように考えたデザインなのだろう。
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チンクアンタのスエードブルゾン:気に入っている点と、イマイチな点
さて、このブルゾンを使用してみて、気に入っている点とイマイチな点を書きたい。
以下の通りになる。
気に入っている点
上質なスエードの素材感
各部に感じられる、手造りの「クラフト感」
シャープで無駄がないシルエット
イマイチな点
(注意事項)万人向きのパターンではない
下記で、それぞれについて説明していきたい。
気に入っている点
上質なスエードの素材感
スエードというのは、革の表皮でない部分を起毛させた革のこと。
表面(吟面などという)を削る場合と、表面付きの革を裏返す場合など、加工方法は様々。
なぜこのような説明をしたかと言うと、一口に「本革のスエード」と言っても、加工方法によって素材のコストが大きく異なるのだ。
比較的安価なのは「表面を削ったスエード」。
この場合、本来は捨ててしまうことが多い、皮革を製品用に薄くスライスした余りの部分を、スエードに加工して再利用することが多い。
爆安なスニーカーとか、ファストファッションのバッグなどの「本革スエード」素材は、大体はこのような「余り素材を活用した素材」を使っていることになるだろう。
「安価なスエード」は言い換えると「エコなモノ」でもあって、それが「悪い」というつもりは毛頭ない。
前置きが長くなった。
このジャケットに使用しているスエードは、そのような廉価な素材とは全く異なる質感だ。
スエードの質感で大切な点は、毛羽のキメの細かさ。
この素材は異常にキメが細かい。革素材のキメが細かく、組織が緻密なのだろう。
「スエードとして最上級の素材」なのは間違いない。
やはり革やウールなど、服飾素材に関してイタリアは世界No.1なのだということを、強く感じる。
各部に感じられる、手造りの「クラフト感」
上項でも触れたけれど、手造りの「クラフト感」が随所に感じられるというのも、イタリアの製品らしくてお気に入り。
バッグ・靴などが特にそうだけど、手作業が多い高価格帯の商品でも、「手作業っぽさ」を極力見せない、というブランドが多い。
特に日本人は「クラフト感」を「アラ」とみなす気質があるのか、この傾向が特に顕著な気がする。
私観だけど、イタリアのモノ作りは少し異なり、より手作業を重視する文化があると思う。
個体差とか「アラ」に繋がる部分でもあるけれど、現代のプロダクトとしてはそれだけで稀少性があって、価値があるモノなのではないかと思う。
シャープで無駄がないシルエット
このブルゾンのシルエットは、かなりシャープ。
特に見頃の細さはかなりのもの。
ストレッチのない素材で、これだけシルエットが細いカジュアル・ジャケットというのは、そうそうない。
ヴァルスター型のジャケットは、本国イタリアでは「オジサン・お爺さんが着る物」というイメージもあるらしい。
そんなイメージを覆すため、こだわったパターンなのかもしれない。
イマイチな点
万人向きのパターンではない(かなり細身)
これは、前項の「シャープで無駄がないシルエット」の裏返しとなる点。
『最上級の素材』『クラシックなスタイル』を、流行遅れに見せないために『スマートなシルエット』で料理する、というのは分からなくもないコンセプトだ。
だがしかし、それにしても細すぎだと思う…
このジャケットの定価は、10万円以上。
「クラシックなブルゾン1枚」にこの金額を出せる経済的な余裕があり、なおかつ「日々の節制を怠らず、細身の体型」の方が、果たしてどれくらいいるのかには、少し疑問を覚える。
完全に余計なお世話なんだけど、クラシックなんだけど尖っている、「着る人を選ぶジャケット」だなあと思う。
まとめ:「トラッド猛者」に着てほしい、「意欲を掻き立てられる」1着
今回は、イタリア人が大好きなヴァルスター型ブルゾンの一例、私物の50(チンクアンタ)のスエードブルゾンを紹介してみた。
ポイントのおさらい 上質なスエードの素材感
各部に感じられる、手造りの「クラフト感」
シャープで無駄がないシルエット
万人向きのパターンではない
最近では「あまり人気の服装」ではなさそうだけれど、それでもクラシカルで格好良く、流行に関係なく着られる1着だ。
だけどイタリアン・クラシックなだけに求められる「お洒落レベル」も高くて、かつ体型的に着る人を選ぶのも事実。
そういう意味では、筆者のような中途半端な洋服好きコヤジが着るのは、ある意味で畏れ多い…。
「トラッドを解する猛者」に袖を通してほしい、質感だけでなくファッション的にもハイレベルな1品。
言い換えると、袖を通すことで「よりお洒落になりたい!」という意欲が掻き立てられる洋服だと言えるだろう
(おまけ)コーディネート例、製品データ
コーディネート詳細
ブルゾン:チンクアンタ(本品)
ニット:ジョン・スメドレー
シャツ:ブルックス・ブラザーズ
ボトムス:バナナ・リパブリック(レビューページへ)
靴:ジャラン・スリワヤ
コーディネート詳細
ブルゾン:チンクアンタ(本品)
ニット:ジョン・スメドレー
シャツ:ブルックス・ブラザーズ
ボトムス:バナナ・リパブリック(レビューページへ)
靴:パラブーツのコロー(レビューページへ)
製品データ
ブランド 50(チンクアンタ)
製品名 スエード ドライビングブルゾン
素材 (表地)ゴートスエード、(リブ)毛・アクリル
サイズ 42
色 ネイビー
製造国 イタリア
価格 40,000円(オークションにて)
購入年月 2017年秋
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