こんにちは、物欲紳士です。
今回は筆者の好物で、近年の流行でもある復刻系ウォッチについて書きたい。
この記事でご紹介するのは、タイメックス (Timex) のマーリン復刻版 (Marlin) 。
タイメックスの主要製品・マーリンの概要
マーリンの良い点・イマイチな点について
まずはブランド(タイメックス)と、マーリンについて見ていきたい!
ブランド(タイメックス)と、マーリンについて
タイメックス (Timex) について
タイメックス (Timex) は、米国の時計メーカー。
1854年創業。
米国系の時計メーカーはいくつかあるけど、現在でも米国内に本拠を構えるブランドはタイメックスのみ。
「ブランドのオリジン」にこだわりたい方にとっては、重要なポイントかもしれない。
以下で主要製品をざっとピックアップするけど、現在はデイリーユース向けのカジュアルな製品がメイン。
タイメックスの主要製品
タイメックス製品は時計店だけでなく、雑貨店や洋服店なんかにも色々と置いてある。
雑誌でも頻繁に登場するのでわざわざ書く必要もなさそうだけど、主な製品について筆者なりに振り返ってみたい。
◆キャンパー (Camper)
下記のダイソー腕時計 についての記事でも紹介した、ベトナム戦争向けの米軍時計の民生化版。
腕時計の、高価な「財産の一種」から「日用品」への変化を語る上で重要な製品の1つ。
ミリタリー向けということもあって、機能性に徹したデザインも魅力。
◆ウィークエンダー (Weekender)
12/24時間表記が併記されたインデックスの配置などは、キャンパーとの共通要素。
一方でメッキ処理されたつややかなケースやファッショナブルなベルトなど、よりカジュアルウェアに合うデザインにリファインされたのがウィークエンダー。
タイメックスの定番中の定番と言えるベストセラー。
◆クラシックデジタル
「チープカシオ」のタイメックス版とも言うべき、シンプルな金属製デジタルウォッチ。
液晶の時刻表示部が大きくて視認性に優れる上に、デザイン上もメリハリがある。
「シンプルな実用品が欲しいけど、チプカシはちょっと素朴すぎる」と感じる方は必携。(筆者も欲しい…)
◆アトランティス100 (Atlantis 100)
定番品ではないけど、最近お洒落な服屋さん・雑貨屋さんに行くと置いてあるのがアトランティス100。
80年代っぽい素材・フォント使いから漂うレトロ感に「今っぽさ」が感じられる1本。
◆以上まとめると
筆者好みの定番品をメインに振り返ったからという理由もあるけど、現行のタイメックス製品のラインナップには20世紀後半のレトロ感、特に当時の「米国らしさ」を感じさせる製品が多い。
"Make America great again!" (米国を再び偉大に!)という前大統領の言葉も、記憶に新しい。
ちょっとしたネガティブさというか、哀愁感もあるワード。
だけど、われわれ日本人にとってのタイメックスは、「華やかだった頃の米国っぽさ」を、ポジティブな感覚で身につけることができるのが「面白さ」と言うこともできそうだ!
マーリン (Marlin) について
マーリン (Marlin) は、そんなタイメックスが50年代の製品を再現した復刻モデル。
製品が発売されたのは、確か2017年だったかな。
ビンテージな赴きの径34mmのサイズ感
クラシカル感の漂うディテール
手巻き式ムーブメントを採用
発売時には、ブランド久々の手巻きモデルということでも話題になった。
詳細は下で述べるけど、現代の腕時計では珍しいサイズ感とディテールが特徴。
「20世紀の米国への郷愁感」がお洒落なタイメックスだけど、定番モデルよりも「振り返る年代が、さらに以前にタイムスリップ」したのが特徴のモデルだとも言えそうだ。
別モデル
Timex メンズ マーリン 自動巻き 40mm 腕時計, ブラウン/シルバー/ブラック
蛇足だけど、最近は「マーリン」シリーズから現代的な40mm径・自動巻にアップデートされたのモデルが発売されている。
このモデルは今回紹介の34mm版とはちょっと異なり、ダニエル・ウェリントンのような「シンプル系デザインウォッチ」をベースに「タイメックス流のヴィンテージ・テイスト」をミックスした感じかな。
製品の性格は結構違う気もするけど、それはそれとして40mm版も欲しい…笑。
タイメックス社としては「お試し」だったはずのマーリンの製品企画だけど、それが定番モデルとして昇華しつつあることの表れとも言えるのかもしれない。
スポンサーリンク
タイメックスのマーリン:良い点と、イマイチな点
少し脱線したけど、手巻き式のマーリン復刻版に話を戻したい。
筆者がこの腕時計を購入したのは2019年。約2年間愛用。
この腕時計に感じる良い点とイマイチな点は、下記の通り。
現行製品中では独自性のあるサイズ感
チープ・シック感が新鮮な、各部のディテール
ロービートの「アジ」を感じるムーブメント
リザード調型押しのベルトの質感
以下で、それぞれについて述べていきたい!
現行製品中では独自性のあるサイズ感
現在のサイズ感ではレディースサイズの範疇に入る、径34mmのサイズ感。
現在では珍しいけど、20世紀半ばまでは紳士向けでも「小さめサイズ」が一般的だったのだ。
近年のモデルで、似たサイズ感&文脈の製品例としてはがある。
「懐古調」の中でも「60年代以前の男性の装い」に対するレトロスペクティブだという点は、その他の多くの復刻製品と見比べても独自性を感じる。
一方で「使う側がどのように着けて楽しむか」は、人により色々な考え方がありそうでもある。
もちろん、普段使いで使っても良いし、
「普段使いの腕時計」から腕元のボリュームを変えたい場面で使用しても良いし、
もちろん女性が使っても良いし、パートナーと兼用するのも面白い。
現在では一般的ではないボリューム感だけど、「サイズ面の特徴を、どう活かすか?」を色々と考えられるのが面白い。
チープ・シック感が新鮮な、各部のディテール
高価な製品ではない(コストが掛かっていない)点にも起因しているけど、造りの面でもチープ感が漂っているのも、逆に良い。
敢えて(?)旧世代的なアクリル素材のドーム状風防(前面のガラス体)。
キズは付きやすいけど、ファンが多いフィーチャーでもある。
文字盤は昔の腕時計によく見られる、周辺部が落ち込んだボンベ形状。
一般的にコストがかかる加工法とされているけど、恐らくは安価に板金のプレス成形のみで加工をしている。
インデックス(文字盤の指標)は立体的に成形された、いわゆるアプライドインデックス。
立体的なインデックスは、のように指標用の別部品を組み合わせるのが一般的。
だけどマーリン復刻版の文字盤は構造が異なっていて、(おそらく)板金加工で形成した凸部の表面を切削することによって立体的に見せている。
マーリンのような「立体的な文字盤面やインデックスを、板金1枚で表現した文字盤」というのは、現代の腕時計ではあまり見ない。
採用例が少ない理由は「コスト面で有利な反面、安っぽく見えるから」だと思われるけど、この点も「チープ・シック感」というマーリンらしさに繋がっている。
ちなみにコスト面についても、現在では低価格だけど「高見え」する文字盤の製品 もあり、当時ほどのコストメリットは、おそらくはない。
「あえてチープ感を狙っている」とも思える仕様なのは、現代よりも工業技術が未成熟だった50年代の大量生産品の「アジ」も含めて再現したという意図だと思われる。
高価格商品ではないけど、なかなかに通好みな側面もあるわけだ…!
ロービートの「アジ」を感じるムーブメント
前述したような独特な外観仕上げも良いけど、何よりも特徴的なのはロービートの手巻き式ムーブメント。
ムーブメントの詳細は非公表だけど、どうやらSEAGULL社製の中華ムーブメントが使われているらしい。
本機のムーブメントは、毎時21600振動(6振動/秒)のいわゆる「ロービート」。
現代の一般的な機械式ムーブメント(28800振動、8振動/秒)よりも秒針の動きが粗くて、動作的にも「昔っぽいアジ」がある。
室内では「チクタク」という音が結構聞こえるのも、率直に言うと安っぽい。
静かな環境(図書館など)では気になる可能性もあり、そういった環境での使用にはちょっと向かない点には注意が必要。
だけど、機械式らしいローテクな「アジ」という観点では、高級腕時計をも凌駕している点は魅力だと感じる。
リザード調型押しのベルトの質感
本体の仕様は「チープ感」も含めてお気に入りなのだけれど、個人的に気になるのは付属のリザード型押しベルトの質感。
上の写真のベルトね。
ベルトの安っぽさも、マーリン復刻版が狙う「昔の大量生産品のアジ」なのかもしれない。
だけど筆者的には、そこはどうしても気に入らなかったんだよねぇ…。
気に入らないものは、素直に付け替えてしまえば良い。
現在は下記の製品を愛用中。
腕時計 ベルト バンド RIOS1931 Moscow Russian Leather モスクワ ロシアン・レザー
標準の黒ベルトからガラリと印象が変わるけど、若干黄味がかった文字盤の色ともマッチしていて、気に入っている。
ベルトを付け替えるにしても、本体が安価なのでコストはかけたくない。
「黒のリザードベルト」の中では、コスパも込みでの製品がオススメ。
まとめ:「チープな感じ」を、お洒落にさらりと付けこなしたい!
今回は、私物のタイメックス (Timex) のマーリン復刻版(手巻き式)をレビューした。
現行製品中では独自性のあるサイズ感
チープ・シック感が新鮮な、各部のディテール
ロービートの「アジ」を感じるムーブメント
リザード調型押しのベルトの質感
総合評価 ★★★★★ 3.5
デザイン ★★★★★ 5.0
個性溢れるヴィンテージ感が◎
機能性 ★★★★★ 2.0
ロービートゆえ、精度面を期待するのは酷…
着用感 ★★★★★ 4.0
着用感は良好。理由はケースサイズと厚み
価格 ★★★★★ 3.0
定価はそこそこお高め。割引購入できるお店を探したい…
耐久性 ★★★★★ 3.0
購入2年程度は問題ない。耐久性に期待する製品ではないかも
その他 ★★★★★ 4.0
シリーズの定番化にも、ますます期待!
「クラシカルな米国らしさ」と「大量生産品らしいチープさ」が同居した、マーリンの復刻版。
例えるなら、レトロなアメリカン・ダイナーにも似た味わいがある腕時計。
願わくばお洒落にさらりと付けこなし、お気に入りのダイナーでハンバーガーなんかを頬張る、そんなシチュエーションが似合う。
「高級腕時計を買うだけの経済力」だけでは手に入らない、「着け手のセンスも問われる1本」だとも言えるだろう!
[TIMEX] 腕時計 マーリン TW2R47900 ブラック
あわせて読みたい
-
【不朽の名作】ハミルトンのベンチュラ【50年代のアバンギャルド】
続きを見る
-
【総額3万円台で揃える】腕時計3本の組み合わせ4選【約1万円/1本】
続きを見る
-
【たったの500円】ダイソーの「ミリウォッチ」【米軍レプリカ時計
続きを見る
-
【名作リバイバル】セイコーの3rdダイバー復刻版【リアルさが身上】
続きを見る