こんにちは、物欲紳士です。
今回は、筆者が現在保有している靴の中で最も愛用歴が長い1足を紹介したい。
この記事で紹介するのは、ヤンコ (Yanko) のU-チップ、104716。
ヤンコのブランドと魅力について
アノネイ社のベガノカーフの経年変化について
現在は生産していないようだけど、素材のベガノカーフの経年変化の記録としてもご覧いただけると幸甚です…
まずはブランド(ヤンコ)と、この靴の概略について見ていきたい!
ブランド(ヤンコ)と、この靴について
ヤンコ (Yanko) について
ヤンコ (Yanko) は、スペインの靴ブランド、メーカー。
1961年、マヨルカ島で創業。
創業者のホセ・アルバラデホ氏は、ヤンコを成長させた後にカルミナ (Carmina) を創立。
息子はメルミン (Meermin) の創業者でもあり、アルバラデホ家はスペインでも著名な製靴一家でもある。
「スペインの靴」と聞いても印象が薄い方もいるかもしれないけど、有名なところではカンペール (Camper) のスニーカーが知られているし、
ファストファッションのZara(ザラ)も、安価かつハイレベルな靴・バッグを毎年コレクションしている。
紳士靴では「オパンカ製法」で百貨店でもお馴染みのマグナーニ (Magnanni) なども擁する。
ハイブランドで言えばロエベ (Loewe) なんかも知られていて、実は製靴・製鞄産業が結構盛んなお国柄なわけだ。
そんな中、ヤンコを筆頭としたアルバラデホ家の靴作りの特徴は「グッドイヤー製法をベースとした英国的な靴造り」にある。
近代のメンズファッションの中心地・英国からすると、スペインは地理的に遠く離れた場所。
なおかつヤンコ創業の地・マヨルカ島は地中海の島だから、ちょっと面白い。
理由は筆者も詳しくはないけど、観光産業が盛んなこともあって欧州各地から人が訪れるので、外国の靴の作り方を受け入れる素地があるのかもしれない。
島嶼部でもあるので、ここ日本の文化の特徴と共通項がある可能性もありそうだ。
賃金水準がEUの中心国(英独仏)ほど高くないこともあり、ヤンコをはじめとしたスペイン系ブランドは「英国的な欧州産の靴を、優れたコスパで提供する」ことに関して定評ある存在だと言えるわけだ!
Uチップ (104716) について
Style No. 104716は、そんなヤンコが製作していたUチップ・ダービー(外羽根式)のドレスシューズ。
筆者が本品を購入したのは、確か2006年。
15年以上愛用していることになる。
素材はフランスの著名なタンナー(皮革製造業者)、アノネイ社のベガノカーフ。
カラバリは何色か存在したけどキャメル色を選んだ点が、この靴のポイント。
Uチップの顔となる甲部の革の継ぎ目(モカ)の製法は、一般的な「合わせモカ」。
比較的量産性に優れた手法で、特段高級な仕立てではない。
英国の名作Uチップの影響が感じられるフォルムと上質な材料を用いつつ、縫製などには手間をかけずにコスパの良さも追求する、というのがこの靴のアウトラインだと言えそうだ!
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ヤンコのUチップ:良い点と、イマイチな点
筆者がうら若き20代前半の頃から、15年以上も愛用してきたヤンコのUチップ。
現在の筆者の所有靴の中では最も古く、ワードローブ全体を見ても最古参の部類となる。
長年愛用してきた中で感じる、良い点・イマイチな点は、下記の通り。
カーフの質感・色味が醸す「軽さ」と「育てる楽しさ」
欧米靴らしからぬ足馴染みの良さ
コストパフォーマンスの高さ
(淡色なので)水染みができやすい点
以下で、それぞれについて説明していきたい!
ベガノカーフの質感・色味が醸す、「軽さ」と「育てる楽しさ」
Uチップは、ドレスシューズの基本デザインの中でもカジュアルなスタイル。
一般的には他のスタイルと同様、黒やブラウンが第1の選択肢だけれど、カジュアルなだけに明るめのキャメル色とは相性が良い。
ジャケパン・ジーンズと合わせても良し、実はネイビースーツと合わせてもハマる。
の写真の感じで、ネイビー・スーツとライトブラウン系の靴を合わせるコーデは、カジュアル化が進む近年はぐっと増えた気もする。
ライトブラウン系の靴も増えてきた感もあるけど、爪先などに「焦がし」が入っている仕上げの製品も多く、「そうじゃないんだよ…!」と思えるのも事実。
淡色系ならではの「軽さ」がありつつも「品のなさ」になっていないのは、良質な素材を使っているからこそ。
また、色味について「お手入れで変えていく楽しさ」がありまくるのも、ライトな色合いの革靴の面白さ。
筆者の場合、「爪先の焦がし」は入れていない(★無色ワックスで入れることも可能)。
だけどトゥ部の色ムラは、長年のお手入れで自然についたもの。
最近は「インスタ映え」の影響もあってか、靴のお手入れを研究しているマニアの方が爆増した。
一方でこの靴のエイジングは、履き始めの年次が古いこともあって「お手入れにこだわった結果の変化」ではない。
それでもそこそこ雰囲気のあるエイジングをしたと思っている。
「革靴を経年変化させる面白さ」を学べたのは、この靴&革との出会いによる部分が大きかったと感謝している。
欧米靴らしからぬ、足馴染みの良さ
本点はこの靴に限らず、ヤンコの靴全般に言えること。
ヤンコの木型は(当時の欧州産の既製靴としては)全般的にヒールカップが小さい。
形状も細身。足に関しても骨格が細めな人が多い日本人(アジア人)の足型に合った木型だと感じる。
最も現在ではここ日本をはじめ、アジア圏でも「木型のフィット感にこだわった靴ブランド」が色々と出てきたのも事実。
ヤンコ等に特有な美点ではなくなった面もあるけど、(特に骨格細めの方は)ヤンコを始めとしたスペインメーカーの靴もチェックされることをオススメしたい!
コストパフォーマンスの高さ
ヤンコの靴は「欧州製であること」と「造りの品質」に対するコストパフォーマンスは高い。
より厳密に書くと、「値下げも含めた」コスパの高さは注目に値する。
筆者の1足の場合、定価は5万円台後半だったと思うけど、当時は存在した青山の路面店で3万円で入手している。
コスパの高さの理由は、前述した「スペインの相対的な賃金の低さ」もあるけれど、英仏伊の名門と比較すると、ブランドバリューには劣るという理由もありそうではある。
「モノの価値を決めるのは他人(が評価したブランド)ではなく自分自身」という方には、納得できる選択ではないかと感じる!
(淡色なので)水染みができやすい点
この靴のイマイチな点についても述べておきたい。
淡いキャメル色のドレスシューズはファッション的には魅力的だし、育てる楽しさもある。
ただ長年履くことを考えると、水染みなどの経年劣化が起きやすい点には留意が必要。
筆者の個体の場合、アッパーの下部にはウエルトからの色移りによる色変化があるし、
雨降りによる水染みも、結構目立つ。
概して言うと「水に濡れること」に関しては黒・茶靴以上にシビア。
…かと言ってコードバン靴ほどのシビアさはないので、それほど深刻に捉える必要もないかもしれない。
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まとめ:永く愛用することで「手放せない1足」に
今回は筆者の愛用靴の中でも最古参の1足、ヤンコ (Yanko) のUチップダービー・104716について、所感を述べた。
キャメルの色味が醸す「軽さ」と「育てる楽しさ」
欧米靴らしからぬ足馴染みの良さ
コストパフォーマンスの高さ
(淡色なので)水染みができやすい点に注意
アノネイ社の人気レザー、ベガノカーフのエイジング記録としても書いてみたけど、いかがだっただろうか。
「ライトカラーのドレスシューズのすゝめ」としても、本記事をご覧いただけたなら幸いだ。
[ヤンコ] ダービーUチップ 03Y4565
現行品では最も近いモデルがこちら。
私物は革底だけど、ハーフラバーのソールもヤンコらしくて◎。
筆者自身も年齢を重ね、「本品をさらにアップグレードされた靴」を履ける身分になった気もするけど、他の靴に乗り換える気は起きない。
なぜなら「15年以上履き続けた」ことで、入手金額(3万円)を超える愛着があるから。
次に購入された愛靴が、貴方にとっても「一生モノの1足」となることを、切に願っている!
(★おまけ)コーディネート例、私物の製品データ
コーディネート例
バブアーと合わせたカジュアルなコーデ。
インナーのニットと色を合わせる。
コーディネート詳細
ジャケット:バブアーのビデイル( レビューページ へ)
ニット:ユニクロ
シャツ:ブルックス・ブラザーズ
デニム:ユニクロのストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ( レビューページ へ)
靴:ヤンコ(本品)
キャメル色のジャケットと、色を合わせる。
コーディネート詳細
ジャケット:オーダー品
ニット:ユニクロ
デニム:ユニクロのストレッチセルビッジスリムフィットジーンズ( レビューページ へ)
靴:ヤンコ(本品)
ブラウン系のレターマンジャケット(スタジャン)と合わせた、ブラウン系コーデ。
靴とバッグの色味を合わせて、色数を抑える。
コーディネート詳細
ジャケット:スクーカム
ニット:ユニクロ
シャツ:ブルックス・ブラザーズ
デニム:リゾルト
靴:ヤンコ(本品)
購入品の製品データ
ブランド ヤンコ
製品名 104716
スタイル Uチップ、ダービー
素材 (甲材)牛革
(底材)牛革
製法 グッドイヤーウエルト
色 キャメル
サイズ 5 1/2
製造国 スペイン
価格 ¥30,000- 程度
購入年月 2006年1月
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