こんにちは、物欲紳士です。
この記事では、筆者がうら若き20代前半の頃、初任給で購入した思い出の1本、ホイヤー・カレラ・クロノグラフ(1964復刻版、Ref. CS3111)について書きたい。
現在のタグ・ホイヤーの姿を振り返る際に、大きな意味を持つ1本(←やや大袈裟?)。
若干、筆者の持ち物自慢になってしまう(?)面もあるかもしれないけど、特にホイヤー・ファンの方には是非、お付き合い願いたい!
ブランド(タグ・ホイヤー)と、この時計(CS3111)について
タグ・ホイヤーについて
タグ・ホイヤー(Tag Heuer)は、スイスの時計ブランド。
1860年(日本で言うと幕末!)に創業。
タグ・ホイヤーの特徴を一言で言うと、「スポーツ・ウォッチの専業メーカー」だという点だ。
周囲のブランド(ロレックスやオメガなど)と比較すると、元来「腕時計専業」という部分は薄くて、ストップウォッチなどのスポーツ向けの計時機器も数多く生産していた。
腕時計に関してもこの流れがあって、クロノグラフやダイバーズ・ウォッチなどのスポーツ・ウォッチを主に製造・販売している。
近年はルイ・ヴィトンを中心とするブランド資本・LVMHの傘下に入り、高級ブランド化を推し進めた。
その際の重要なポイントが、「手が届くラグジュアリー」「クラシック路線への回帰」の2点。
これらのキーワードについて詳しくは述べないけど、今回紹介するカレラの復刻版(1996)は、2点目の「クラシック路線への回帰」を方向付ける意味で、重要な意味を持つ1本だったと考えている。
今回の時計(CS3111)について
今回紹介するRef. CS3111は、現在ではタグ・ホイヤーの主力モデルとなっているクラシック・ライン、「カレラ」(Carrera)シリーズの先駆けとなったモデル。
1964年モデルの復刻版として、1996年に登場。
主な特徴は、下記のようになる。
CS3111の特徴 ヴィンテージ感溢れるディテール
径36mmの小振りなケース
往時を偲ばせる "Heuer" ロゴ
クラシカルなプラスチック風防
手巻き式のクロノグラフムーブメント(レマニア Cal. 1873)を搭載
以下で、これらのディテールを詳しくチェックしていきたい。
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ホイヤー・カレラ(1964復刻版、CS3111)の魅力
ヴィンテージ感溢れるディテール
径36mmの小振りなケース
腕時計の大径化がさほど進んでいなかった90年代当時としても、外径36mmという小振りなサイズ感はあまり例がなく、新鮮だった。
「クラシック・モデルの復刻版」が一般的になった昨今でも、クロノグラフでここまで小振りなサイズというのは、ほとんど見られない。
この大きな理由としては、下記に挙げるように他社製のクラシカルなムーブメント(レマニア Cal. 1873)を採用している点が大きいと考えている。
クロノグラフの場合、インダイアルの中心(3つの小さな針の中心)の位置は、ムーブメントで決まってしまう。
このため、より大径の時計用に作られた昨今のムーブメントを流用し、ケース外径のみを小径化すると、外径とインダイアルの位置が合わず、デザインバランスが崩れてしまうのだ。
タグ・ホイヤーを含め、昨今の有力メーカーが「オリジナル・ムーブメントの採用」に舵を切っていることから考えると、このサイズでのクロノグラフの復刻は、今後も行われない可能性が高そうだ。
往時を偲ばせる "Heuer" のロゴ
ブランド刻印が1980年代以降の「タグ・ホイヤー」ではなく、「ホイヤー」のみなのも、なかなか渋い。
正確な復刻のためにブランドロゴを以前のロゴに戻す、というのは最近はよく見られるけど、当時は珍しかったように思う。
特に社名自体を旧社名に戻すというのは尚更だ。
CI(コーポレート・アイデンティティ:会社のロゴ)の模範的な使い方とは言い難い気もするけど、そのお陰でヴィンテージ感溢れる1本になっている。この点には感謝。
クラシカルなプラスチック風防
風防(文字盤表面の風除け)も、クラシカルなプラスチック製。
プラスチックの風防はかなり傷が付きやすく、個人的には気を遣ってしまうポイント。
ただ、「スリ傷が入っているのがヴィンテージっぽく、格好いい」と捉えるマニアも多いらしく、好みは人それぞれなんだなあと思わせる。
横から見ると風防はドーム型(盛り上がった形状)をしていて、(さらに傷が付きやすいけど)ここもヴィンテージ感があり、やっぱり渋い。
手巻き式ムーブメント(レマニア Cal. 1873)を搭載
ムーブメントはエボーシュ(汎用メーカー)製。
レマニア社の銘機、Cal. 1873を搭載している。
これはオメガのムーン・ウォッチ、スピードマスターに搭載されている手巻きムーブメント(オメガ Cal. 861)と同等。
クロノグラフの機械としては、信頼性の評価が最も高いものの1つだろう。
注意事項としては、この手のクラシカルなムーブメントに良くある話として、ハック機構が付かない。
時刻合わせ時にも秒針が停止しないので、秒単位での時刻合わせは困難。
機械式時計に秒単位の精度を求める人は少ないと思うけど、使用する際は「分単位」の行動を心掛ける、若干の心のゆとりが必要ではある。
まとめ
今回はホイヤー・カレラの1964復刻版(1996)を手元に、この時計の意義と、その特徴について振り返ってみた。
CS3111の特徴
ヴィンテージ感溢れるディテール
径36mmの小振りなケース
往時を偲ばせる "Heuer" ロゴ
クラシカルなプラスチック風防
手巻き式のクロノグラフムーブメント(レマニア Cal. 1873)を搭載
筆者はこの時計を2007年頃、中古で購入した。
当時は10万円ちょっとの売価だったけど、2021年現在は40万円以上に高騰しているようだ。
タグ・ホイヤー社もそれに気を良くした(?)のか、現代のムーブメント・製造技術で再復刻したものが、近年発売されている。
ホイヤー・カレラ 160周年限定版 CBK221B.FC6479
現物を見せてもらったことがあるけど、ケースサイズがやや大径化している以外、復刻の精度は高そう。
そして自動巻ムーブメントや高価そうなドーム型のサファイア風防(!)など、細部も高級化。
そして何より、お値段もかなり凄いことに…
なお、タグ・ホイヤーの近年の製品については、以下の記事でオススメのモデルを紹介している。
合わせてチェックしてほしい…!
(おまけ)製品のデータ
ブランド タグ・ホイヤー(Tag Heuer)
製品名 カレラ・クロノグラフ・1964復刻版(Carrera Chronograph 1964 Re-Edition)
製品番号 Ref. CS3111
素材 ステンレス(ケース)、革(ベルト)
文字盤色 黒
生産国 スイス
金額 ¥135,000- (中古価格)
購入年月 2007年5月
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