こんにちは、物欲紳士です。
今回は、「今日のポロシャツのスタイルを創出した」と言っても過言ではない超定番シャツについて書きたい!
本記事でレビューするのは、ラコステ (Lacoste) の定番メンズポロ、「L.12.12」(L1212) 。
まずはブランド(ラコステ)と、L1212の概要をチェックしていきたい!
ブランド(ラコステ)と、L1212について
ラコステ (Lacoste) について
ラコステ (Lacoste) は、フランス発のスポーツウェアブランド。
1933年に創業。
創業者は、1920年代に活躍したテニス選手のルネ・ラコステ氏。
ラコステ氏が「ワニ」のニックネームで知られたことが、象徴的なブランドロゴの起源となっている。
選手時代のラコステ氏は、ポロ競技で用いられていた「ニット素材で半袖のプルオーバーシャツ」(←ポロシャツの語源)を、競技用ウェアとして使用。
引退後の1930年代からはスポーツウェアのデザインに取り組み、ポロシャツを看板商品にすることに成功。
テニスだけに留まらないスポーツウェアとして普及し、さらにファッション的な側面でも受け入れられていくことになる。
以上をまとめると、元は「スポーツウェアとしての機能性の追求」が原点だったものが、「私たちの普段着」として受け入れられたのが、「ラコステとポロシャツの歴史」と言える。
「先に機能性ありき」な点は、「ミリタリー」や「ワークウェア」なども似ている。
他のカジュアルウェアと同じような過程で、私たちの普段着として定着した点は興味深い!
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定番ポロシャツ「L1212」について
L.12.12 (L1212) は、そんなラコステの製品で「ド定番」と言えるポロシャツ。
例えるなら、「ポロシャツ界のリーバイス501」とも言える1枚。
1933年のブランド創設以来、「ラコステが考えるスタンダード」として生産され続けてきたモデルとなる。
ディテール面での特徴を挙げると、まず第1の特徴は鹿の子編みのニット生地。
前面は、2つボタンのプルオーバー型(前立てが襟付近のみ)のスタイル。
アイコニックなリブ襟。
肩部は、一般的な肩構造と言えるセットインスリーブで、袖先にもリブが配されている。
こうして挙げていくと「何の変哲もない」と言えなくもないけど、上記のディテールが「何の変哲もない」と認識されること自体が、「ラコステのポロシャツの影響力」を物語っている。
L1212のディテールが「アタリマエ」になるほど、スタイルに与えた影響力は大きいわけだ。
そんな中、個人的にラコポロの「大きな特徴」だと感じる点は、平置きした時に生じる袖形の違い。
他社のポロシャツ(フレッド・ペリーとユニクロ)と並べてみる。
ラコステのL1212(写真左)は袖が横向きに付いていて、裾先の絞りが大きい。
ちょっと独特な袖の表情は、ラコポロの愛嬌(?の1つ)だと感じている。
…まあ、「袖付けの方向」は着用してしまうと、それほどは分からない。
一方、袖の先端形状は着用時にミニマムな印象となり、不用意に脇下が露出しづらい。
例えばテニスの試合で言えば、「サービス時(腕を振り上げる動作)でも、脇下を不用意にさらさない」といった、当時のエチケット観の現れなのかも(?)しれない。
今日的なスポーツウェアなら、間違いなく「運動性を重視」するところだろう。
筆者の勝手な想像かもしれないけど、のような「古き良き時代の価値観」を今に残す点は、ラコポロの魅力の1つだと言えそうだ…!
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ラコステのL.12.12 (L1212) :良い点と、イマイチな点
ブランドの直営店だけでなく、カジュアルショップからセレクトショップまで、様々な場所で販売される「大定番アイテム」なL1212。
筆者は現在、L1212を2枚保有。
1枚は、ブランドポロの色に近いvert(ヴェール、グリーン)という色味。
海外規格品を、ネット通販で購入した。
もう1枚はピンクで、こちらは日本規格品を店舗にて購入。
サイズはどちらも2(日本表記だと、XS相当)となる。
2枚を保有する上で感じる、L1212の良い点とイマイチな点は、以下の通り。
身幅&着丈に余裕があり「ゆったりめ」なサイズ感
真夏に最適な運動性と通気性
「こだわり」が感じられるカラバリ
シェルボタンなどのディテールも高品位
タックアウトするにはやや長めな着丈
現行品は「フランス製」ではない
以下にて、それぞれについて述べていきたい…!
身幅&着丈に余裕がある、「ゆったりめ」なサイズ感
パターンの面での特徴を挙げると、L1212は "Classic Fit" を名乗るだけのことはあり、身幅にも着丈にも余裕がある。
試しに、カノコポロの定番モデル(本品とフレッド・ペリー、ユニクロ)のサイズを比較した結果を上表に示す。
肩幅(42cm付近)で合わせたサイズでの比較だけど、L1212は身幅はゆったりめで、着丈は結構長い。
(筆者は得意ではないけど)イマドキのオーバーサイズな着こなしにも適応するサイズ感。
恰幅の良い方にも、比較的取り入れやすいサイズ感だとも言えそうだ。
体型によっても着用感は変わるだろうけど、筆者的にはかなりゆったりめだと感じる。
そこがL1212の特徴。
現在は多様なフィット感の製品を擁するラコステだけど、やっぱり「ブランドが基本とするフィット感」は重要。
「クラシカルなゆったり感」がラコポロの基本で、それを体現したのがL1212だと言えそうだ…!
真夏に最適な、運動性と通気性
「ゆとりのあるフィット感」がもたらすメリットの1つが、動きやすさ。
現在のスポーツウェアなら「素材にストレッチ性を入れて…」となりそうなところ。
「サイズの余裕」で動きやすさを出すという考え方は、昔ながらのスポーツウェアならではだろう。
鹿の子編みの生地は何よりも通気性が高いし、ニット編みなので伸縮性もそこそこある。
さらに吸湿性にも優れ、汗を吸っても「肌にまとわりつく感覚」が少ない。
元来は「スポーツウェアとしての機能性」なのだけど、熱帯化する近年の夏にも最適な仕様。
夏季に着倒したい1枚だと感じる!
「こだわり」が感じられるカラバリ
近年は限定生産品を除き、本国フランス生産ではないラコステ。
…だけど、「フランスブランドらしさ」はしっかり存在する。それがカラバリ。
個人的には、(濃色やパステルカラーではない)中間色の色加減が好き。
筆者の手元にある製品で言うと、まず "vert" (ヴェール)と呼ばれるグリーン。
グリーンってメンズトップスの色としては結構難しいけど、鮮やかすぎず地味すぎずな、絶妙な色味。
それと、「ラコステの象徴」とも呼べるワニマークと同系色なのもポイント。
「左胸のポイントが主張しすぎない」点が、ちょっと洒落ていると思う。
あとはパステルカラーになるけど、ピンクも筆者的には定番色。
「夏らしさ」があるので、お気に入り。
あと諸事情により現在は保有してないけど、ブルー(ダークブルー)も個人的には好きな色。
完全な「真っ青」とは微妙に異なり、若干黄色(緑色)がかっているのが「ラコステらしい青」。
黄色(緑色)が入っていることで適度に落ち着きがあって「安っぽさ」がない。
この辺りの「微妙な色調のセンス」には欧州ブランドらしさがあって、日本人にはマネが難しいところだなあと感じる。
別記事でレビューしたユニクロのドライカノコポロも名品だけど、「ブルーなどの中間色の色合いのセンス」は、ちょっとイマイチなんだよねえ…。
「青」がフランスのナショナルカラーだから、という事情も大きいけど、「フランスらしさ」を楽しむなら「中間色の青」もオススメだ!
シェルボタンなどのディテールも高品位
最後に、ラコポロを語る上で欠かせない(?)のが、高品位なシェルボタン(貝ボタン)。
ボタンはポロシャツのデザイン上、あまり目立たないパーツではある。
でも、着用時に「顔」になる重要なパーツ。
形状は2つ穴で、シンプルな表情も良い。
…率直に言うと、他社製品のような「4つ穴のプラボタン」の方が、縫製強度はあるだろう。
また、「熱でボタンが割れてしまう」という心配も少ない。
だけど、「L1212のようなクラシカルな1枚には、シェルボタンを使い続ける」のは、ラコステの伝統に対する「こだわり」なのだと思う。
「古き良き時代のスポーツウェアらしさ」を守っている点が、L1212の良さ。
シェルボタンもその一部なわけで、そうした「伝統」を味わいたいところではある!
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タックアウトするには、やや長めな着丈
以下では「イマイチな点」についても述べていきたい。
こちらで述べる「着丈の長さ」は、「ゆったりとしたサイズ感」の裏返し。
私たち日本人にはメジャーな「タックアウト(裾出し)して着る」という着方。
L1212は、タックアウトして着るにはちょっと着丈が長め。
オーバーサイズな感じで「ややダボっと着る」には良いけど、タックアウトして着ると、軽快感には乏しいのだ…。
なお、「手持ちのアイテムをタックインして着る」と、のような感じ。
近年、お洒落上級者に人気(?)なのが「タックイン」。
「ポロシャツというスポーティーなアイテムを、キッチリ着る」ことでもあり、着こなしの難易度はやや高いかな。
…ちょっと難しいところだけど、「中庸的な着方」としては、のような着こなしもある。
前身頃の一部(ベルトのバックル付近)だけをタックインする、という着方。
この着方なら、完全にタックインするよりは取り入れやすい(?)かも。
なかなか悩ましい「シャツの裾を、どう着るのか」問題。
3通りの着方を覚えておくことで、流行やアイテムの特性、お好みに近い着こなしができるかもしれない…!
現行品は「フランス製」ではない
最後に本品を語る上で、避けては通れないのが生産地の問題。
過去には「本国フランス製」が存在したけど、現在では存在しない。
この辺りは、現在も「本国製」を貫くブランド(フレッド・ペリーなど)との差異。
なお、「フランス製のL1212」は、古着屋さんなどで高値で取引されるアイテムとなっている。
さらに「ちょっと面倒」なのが、本品には「海外規格品 (L1212) 」と「日本規格品 (L1212AL) 」が存在する点。
筆者の手元のアイテムで言うと、グリーン (vert) の1枚は海外製の並行輸入品。
ECサイトにて、7,000円くらいで購入した。
一方でピンクの方は日本企画品 (L1212AL) で、こちらは日本製。
記事執筆時点 (2023.10) で、定価が17,600円(税込)の品になる。
一口に「海外規格」と言っても、生産国により微妙な違いがあるはずだけど、筆者の手元にあるアイテムから「日本企画(日本製)」と「並行輸入品」との違いも見ていきたい!
まず「平置きした際の顔」となるタグ&ロゴのデザインやボタンには、大差がない。
…ただ、細かく見るとタグの書体はやや異なるし、並行輸入品はタグデザインも複数存在するようではある。
生地については、目付け量(生地の重量)はほぼ同じ。
ただし写真では分かりづらいけど、海外規格品の方がカノコ編みの凹凸が大きい。
そのため、手元の製品だと海外規格品の方が「生地のしっかり感」が感じられる。
ちなみに日本企画品 (L1212AL) は、素材に超長綿(スーピマコットン)を使用している。
生地の特性を生かし、「カノコの凹凸」を押さえてしなやかに仕上げてあるのかも(?)しれない。
肌当たりも異なり、日本企画品の方が「柔らかさ」がある。
「インナーを入れずに着る」「『しっかり』より『柔らか』が好み」という方には、日本企画品 (L1212AL) の方が好適。
それと、サイズも結構異なる。
特に異なるのは身幅と着丈。
まず、肩幅と袖丈は「ほぼ同等」。
肩幅基準でサイズが定義されているのかな。
「肩の線」を合わせて平置きして比較すると、身幅と着丈には差がある。
日本製 (L1212AL) の方が、身幅で約2.5cm、着丈が3cm程度短い。
サイズの違いは、着用するとそこそこ大きい。
日本企画品 (L1212AL) の方が、「ダボッと感」が緩和されるかな。
◆◇◆◇◆
以上より、海外規格品と日本企画品のサイズ差を追記した比較表が上図。
国内品 (L1212AL) だけど、奇しくも身幅と着丈は、フレッド・ペリー (M12) と同スペックになった。
色々な違いをまとめると、以下のようになる。
並行輸入品 (L1212) の特徴 「ECサイトやインポート系ショップで入手可」「価格は廉価(1万円以下)」「生地はしっかりめ」「サイズはゆったり」
日本企画品 (L1212AL) の特徴 「直営店などで入手可」「価格は高め(1万円台)」「日本製」「生地はしなやか」「サイズは日本人に最適化」
「割と全然違うじゃないか!!」となるけど、日本製 (L1212AL) の方が、取扱う実店舗は多い。
「現物を見て検討したい」なら日本企画品を、「ECサイトなどでお得に買いたい」なら並行品を狙う、という考え方もアリかもしれない!
まとめ:誰がいつ着ても「安心」な1枚を、あなたも!
今回は「定番の1枚」、ラコステ (Lacoste) のカノコポロ (L1212, L.12.12) について書いてみた。
身幅&着丈に余裕があり「ゆったりめ」なサイズ感
真夏に最適な運動性と通気性
「こだわり」が感じられるカラバリ
シェルボタンなどのディテールも高品位
タックアウトするにはやや長めな着丈
現行品は「フランス製」ではない
最後の「日本企画品と並行輸入品との違い」はちょっと混乱するというか、「別の型番にしてほしいわ…」と言えなくもない。
それだけ「定番中の定番」として、本品の型番が愛されている証拠なのだろう。
より「伝統」に忠実なのが海外規格品、「私たち向けのアレンジ」が効いているのが日本企画品という考え方もあり、それぞれに魅力がある。
いずれにしても、ラコポロの定番・L1212は誰がいつ着ても安心で、エバーグリーンな1枚。
様々な着こなしに対応できる点も含めて、1枚持っていて損はない定番品だと言えるだろう!
【日本企画】ラコステL.12.12ポロシャツ(無地・半袖)
日本企画モデル。日本製、日本人に適したフィッティング。
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